中古機械を買うときどの補助金が使えるのか?

執筆者 | 10月 3, 2022 | ブログ

中古機械 補助金申請
機械買取

※本記事は2026年9月17日に、実際の現場での事例を加筆して更新しました。

「補助金が通るかどうかわからないので、少し待ってほしい」——そう言われて、契約が保留になったことがあります。

新しいマシニングセンタの購入を検討されていたお客様から、今お使いの機械を売りたいというご相談をいただきました。ただ、新しい機械の購入にあたって補助金の申請をしており、通過するかどうかがまだ分からない段階だったため、しばらく契約を待つことになりました。結果的に補助金の交付が決定し、無事に中古のマシニングセンタを買い取らせていただくことができました。

補助金の審査結果次第で、売却の計画自体が変わることもあります。買い替えを検討している場合は、補助金の審査スケジュールも踏まえて相談を進めることが大切です。

企業が中古機械を買おうとしているとき、補助金が使えることがあります。補助金とは、国や自治体が政策を進めるとき、その政策に合致する企業などを経済的にサポートする仕組みです。審査にとおった企業が所定の事業(補助事業)を実施すると、あとから費用を補填(ほてん)する意味合いで補助金というお金が交付されます。

以前は中小企業庁の「ものづくり補助金」と「事業再構築補助金」が、中古機械の購入費用を補助する代表的な制度でした。しかし事業再構築補助金は2025年3月の第13回公募をもって新規募集を終了し、後継の「中小企業新事業進出補助金」を経て、両制度の流れは現在「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という制度に統合されています。制度名が何度か変わっているため、以前調べた情報のまま止まっている経営者の方も少なくありません。もし自社が補助金の対象となる補助事業を計画していたら、補助金申請が通過すれば、中古機械の購入コストが少し軽くなるかもしれません。現行制度の詳細を紹介します。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

この補助金は、かつての「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称ものづくり補助金)」と「事業再構築補助金」の系譜を引き継ぎ、2026年から実施されている制度です。中小企業や小規模事業者などが新分野への進出や、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善のために設備投資を行う際、その経費の一部が補助されます。補助金の対象となる経費には中古機械も含まれます。

公募のたびに要件や締切、上限額が見直されるため、実際に申請を検討する際は、必ず中小企業庁または補助金事務局の公式サイトで最新の公募要領を確認してください。

補助金の上限額と補助率

交付される補助金の額は、補助事業に使った経費に補助率をかけた額になります。例えば、補助率が2/3の場合、経費が100万円だったら補助金の額は「100万円×2/3」となります。そして補助金の額には上限があります。この補助金には複数の枠があり、自社に合う枠を選んで申請します。それぞれの枠と補助金の上限額・補助率の目安は以下のとおりです(従業員規模により変動します)。

枠上限額(従業員規模によって異なる)補助率
製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)750万~2,500万円中小企業1/2、小規模事業者・再生事業者2/3
製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型)1,000万~3,500万円中小企業1/2、小規模事業者・再生事業者2/3
グローバル枠3,000万円中小企業1/2、小規模事業者・再生事業者2/3
補助金の上限額と補助率の目安(賃上げ特例適用でさらに引き上げの可能性あり)

最低賃金の引き上げに取り組む事業者向けの特例や、大幅な賃上げを行う事業者向けの上限額引き上げ措置もあり、条件を満たせば補助上限額が最大9,000万円程度まで拡大されるケースもあります。自社がどの枠・特例に該当するかは、公募要領のフローチャートなどで確認するとよいでしょう。

補助金の目的

この補助金の目的は以下のとおりです。

  • 中小企業や小規模事業者などは今後複数年にわたって、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入といった制度変更に直面する。
  • これらの制度変更に対応するため、中小企業や小規模事業者などが革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資などを行ったとき、支援する。

対象者

この補助金の対象となる「中小企業や小規模事業者など」は、製造業であれば資本金3億円以下、常勤従業員数300人以下の事業者が目安です(詳細な線引きは業種によって異なります)。個人事業主も対象に含まれることが多いため、規模が小さい事業者でも諦めずに公募要領を確認してみる価値はあります。なお、業種によって「中小企業」の定義(資本金・従業員数の基準)が異なる点にも注意が必要です。卸売業・小売業・サービス業ではより小さい基準が適用されることが多いため、自社の業種区分がどこに該当するかも合わせて確認しておきましょう。

通常枠の補助金の対象事業と対象経費

この補助金には複数の枠がありますが、ここでは製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)について紹介します。この枠の補助事業は、革新的な製品・サービス開発、または革新的な生産プロセス・サービス提供方法の改善です。革新的であるかどうかが問われます。つまり、補助事業を実施した場合、どれくらい事業者が成長できるかがカギを握ります。申請するときに、成長見込みを提示して、その成長が達成できる証拠を示すことになります。

例えば、半導体装置向け部品をつくっている企業が、医療の画像診断装置向け部品をつくるために設備投資をしたり、製造業企業が生産性を上げるために受注管理や工程管理のシステムを導入したりする場合、補助事業として認められる可能性があります。もちろんこのような事例以外でも対象になる可能性があるので、新しい取り組みを考えていたら、検討してみてください。

製造業に限らず、成長分野(DX・GXなど)への進出を後押しする類型も用意されているのが、この補助金の特徴です。例えば、既存の加工設備をIoT対応の中古機械に入れ替えて生産データを収集・活用する取り組みや、海外向けの新たな加工ラインを整備する取り組みなども、枠の選び方次第で対象になり得ます。自社の計画がどの枠に当てはまりそうか、公募要領の対象事業例と照らし合わせて検討するとよいでしょう。

補助金の対象経費には、機械装置の購入費、システム構築費、技術導入費、クラウドサービス利用費などがあります。中古機械の購入は「機械装置の購入費」に含まれますが、条件があるので次の章で紹介します。

中古機械の購入が補助金の対象経費になる条件

中古機械の購入を対象経費として計上するには、一定の条件を満たす必要があります。歴代のものづくり補助金・事業再構築補助金では、代表的に次のような条件が設けられてきました。

対象経費になりやすい条件(例)

  • もっぱら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機など)の購入、製作、借用に要する経費
  • 複数の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している

そして対象経費になりにくいケースとして、次のようなものが挙げられてきました。

対象経費になりにくいケース(例)

  • 中古市場において広く流通していない中古機械設備など、その価格設定の適正性が明確でない中古品

見積もりの必要社数や細かい条件は公募回ごとに変更される可能性があるため、申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。当社のような中古品流通事業者に相見積もりを依頼する場合は、型式・年式を明記した見積書を発行できるかどうかも、依頼先を選ぶ際の確認ポイントになります。

事業再構築補助金は終了しています

事業再構築補助金は、コロナ禍以降の経済社会の変化に対応するため、思い切った事業再構築(新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編)に取り組む中小企業などを支援する制度として2021年に創設されました。補助金の対象経費には中古機械も含まれており、多くの製造業者が設備投資に活用してきました。

しかし同制度は2025年3月の第13回公募をもって新規募集を終了しました。後継として2025年6月から「中小企業新事業進出補助金」の公募が始まり、2026年にはこの制度も、かつてのものづくり補助金と合流する形で「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に一本化されています。

すでに事業再構築補助金の交付決定を受けている事業者は、既存のルールに沿って補助事業を継続することになりますが、これから新たに中古機械の購入に補助金を活用したい場合は、上記で紹介した現行の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」を検討することになります。

補助金の問い合わせ先

「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の事務局サポートセンターの連絡先は、公募回ごとに更新されることがあります。正確な電話番号・メールアドレス・受付時間は、必ず補助金の公式ポータルサイトで最新のものをご確認ください。

公式サイトの連絡先が見つからない場合や、自社の状況に合わせた相談をしたい場合は、地元の商工会議所、商工会、都道府県庁や市区町村役場の経済担当部署、経済産業局などでも相談できます。

【実際にあった事例】補助金の交付決定を待って買い替えが実現したケース

冒頭でご紹介した事例を詳しくお伝えします。

ご相談をいただいたのは、今お使いのマシニングセンタを売却し、その資金も充てながら新しいマシニングセンタへの買い替えを検討されているお客様でした。新しい機械の購入にあたっては補助金の申請をしており、審査の結果がまだ出ていない段階でのご連絡です。

お客様としては、補助金が通らなければ新しい機械の購入計画自体を見直す必要があり、そうなると今の機械をすぐに手放してよいのかも判断できません。そこで、査定額の見通しはお伝えしつつ、実際の契約・搬出は補助金の審査結果が出るまで待つ形にしました。

その後、無事に補助金の交付が決定し、新しい機械の購入と、今お使いだったマシニングセンタの当社での買取が、どちらも予定どおり進みました。

補助金を活用した買い替えでは、売却のタイミングが補助金の審査スケジュールに左右されることがあります。「審査中なので契約を急がせない」という配慮ができるかどうかも、買取業者を選ぶ際のポイントになるかもしれません。

補助金で中古機械を買うときの準備は早めに

もし製造業企業が新しい取り組みをしようと決意したら、ここで紹介した「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は頼りになる存在になるでしょう。補助金の額の大きさはとても魅力的です。ただし、申請条件も審査内容も決して簡単ではありません。また審査を通過しても、先に補助事業を行い、経費を出費して、そのあとで精算が行われようやく補助金が交付されます。そのため、まずは自己資金で補助事業に着手しなければなりません。さらに、補助金の申請には多くの書類が必要になります。

「新しい取り組みをしよう」「そのためには中古機械を買わなければならない」「補助金を獲得したい」と思ったら、なるべく早く準備に取りかかるようにしてください。

補助金申請の準備チェックリスト

中古機械の購入に補助金を活用する場合、次の点を早めに準備しておくとスムーズです。

  • 自社の計画がどの枠(製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠など)に当てはまるか確認する
  • 資本金・従業員数などの対象要件を満たしているか確認する
  • 事業計画書の作成(必要であれば認定経営革新等支援機関に相談)
  • 購入予定の中古機械について、複数の中古品流通事業者から型式・年式入りの相見積もりを取得する
  • 補助事業の経費を一時的に立て替えられる資金繰りを確認する
  • 公募のスケジュール(締切・審査期間・事業実施期間)を把握する

特に相見積もりの取得は、購入したい機械が決まってから慌てて依頼すると、締切に間に合わなくなることがあります。「この機械を買いたい」という話が具体化してきた段階で、早めに買取・仲介業者へ声をかけておくことをおすすめします。

また、公募は年に複数回実施されることが多く、一度の公募で不採択になっても、次の回に向けて事業計画をブラッシュアップして再チャレンジすることも可能です。採択率は年度や枠によって変動しますが、事業計画の具体性や数値目標の妥当性が審査で重視される傾向は変わっていません。専門家(認定経営革新等支援機関や中小企業診断士など)に事業計画のチェックを依頼するのも、採択率を上げる有効な手段のひとつです。

特に中古機械の購入を予定している場合は、相見積もりの取得や型式・年式の明記など、補助金申請に必要な書類を早めの段階で買取・仲介業者に相談しておくことをおすすめします。当社では、補助金申請を予定しているお客様からのご相談にも対応しており、必要な見積書の発行や、審査結果を待つ間のスケジュール調整についてもご相談いただけます。制度が変わって「結局何が使えるのか分からない」という場合も、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q. 昔のものづくり補助金や事業再構築補助金の情報を参考にしても大丈夫ですか?

制度の基本的な考え方(設備投資の一部を補助する、中古機械も対象経費になり得るなど)は引き継がれていますが、申請枠の名称、補助上限額、補助率、対象経費の細かい条件は変更されています。古い情報をそのまま鵜呑みにせず、必ず現行の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の最新の公募要領を確認してから申請準備を進めてください。

Q. すでに事業再構築補助金の交付決定を受けています。今後どうなりますか?

すでに交付決定を受けている場合、新規募集が終了したあとも、交付決定時のルールに沿って補助事業を継続し、完了後に実績報告・精算を行うのが一般的です。制度の廃止・統合が、すでに採択されている事業者の義務や権利に直ちに影響するわけではありませんが、不明な点があれば早めに事務局に確認しておくと安心です。

実績報告の段階になって「対象経費の要件を満たしていなかった」と判明すると、補助金が減額・不交付になるリスクもあります。中古機械の購入を含む補助事業を進めている場合は、経費の使い方や証憑の保存方法について、事業の途中段階でも事務局や支援機関に確認しながら進めることをおすすめします。見積書・契約書・振込明細・納品書といった書類は、補助事業が完了したあとも一定期間の保管が義務付けられるのが一般的なので、紛失しないよう管理しておきましょう。

Q. 補助金の審査結果が出るまで、機械の売却を待ってもらうことはできますか?

業者によりますが、事情を説明すれば柔軟に対応してもらえることが多いです。特に、売却代金を新しい機械の購入資金に充てる予定がある場合、審査結果が出る前に急いで契約を進めてしまうと、後から計画の変更が難しくなることがあります。査定額の見通しだけ先に聞いておき、契約は審査結果が出てからにする、という進め方も可能か、事前に相談しておくとよいでしょう。

Q. 補助金の審査に落ちた場合、売却の話はどうなりますか?

補助金が通らなかった場合、新しい機械の購入計画自体を見直す必要が出てくるため、今の機械を売却するかどうかも改めて判断することになります。無理に契約を進めるのではなく、状況が変わった時点で正直に業者へ相談することをおすすめします。

Q. 売却する機械自体にも補助金は関係ありますか?

補助金はあくまで「新しく購入する機械」に対する制度であり、売却する側の機械には直接関係しません。ただし、補助事業の計画に「既存設備の売却・入れ替え」が組み込まれている場合は、売却のタイミングや証憑(売買契約書など)の提出を求められることがあるため、申請内容によっては買取業者に必要書類を確認しておくとよいでしょう。なお、売却によって得た資金を新しい機械の自己負担分に充てる計画自体は問題ありませんが、その資金の流れを補助金の実績報告書に記載する必要があるかどうかは、事務局や支援機関に事前に確認しておくと安心です。

Q. 補助金以外に使える資金調達の方法はありますか?

補助金は審査を通過しても、経費を立て替えたうえで後払いで交付される仕組みのため、手元資金だけでは立て替えが難しいケースもあります。その場合は、日本政策金融公庫の設備資金融資や、信用保証協会付きの制度融資、リース会社によるファイナンスリースなどを組み合わせて資金繰りを計画することも検討してみましょう。金融機関によっては、補助金の交付決定通知を担保に「つなぎ融資」に対応してくれる場合もあります。資金計画は補助金だけに依存せず、複数の調達手段を組み合わせて考えておくと、審査結果がどちらに転んでも慌てずに対応できます。

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