アマダってどんな会社?

執筆者 | 9月 30, 2022 | ブログ

アマダ 工場

モノづくりに携わっている人で、そして特に金属加工に関わっている人でアマダを知らない人はいないでしょう。株式会社アマダは、工作機械業界で世界3位のシェアを誇る日本を代表するグローバル企業です。

アマダの主力製品は、レーザーマシンやパンチングマシン、その両方の機能を持ったパンチ・レーザー複合マシンなど。そして機械をつくるだけでなく、工場の自動化をサポートする事業も展開しています。 アマダ製品がどのようなもので、アマダがどのような会社なのか解説します。

アマダの代表的な製品

レーザーマシンはレーザー光で金属板を切断する機械で、パンチングマシンは金属板に穴を開ける機械です。パンチ・レーザー複合マシンは切断と穴開けを同時に行える機械です。このような機械は他メーカーもつくっています。では、アマダの工作機械は何が違うのでしょうか。

アマダのレーザーマシンはここが違う

レーザーマシンのREGIUSシリーズは3軸リニアドライブを採用しています。レーザー光の射出口を前後左右に動かすことで思いとおりの形状に金属板を切断できるわけですが、アマダはこの動きを高速化することで生産効率を高めています。

また、厚い金属板も薄い金属板も同じ機械で加工できる特徴があります。これはレーザーの光の密度を厚板には高く、薄板には低く調節することで可能になりました。この機能により、アマダのレーザーマシンを使っている金属加工会社は、異なる材質を1つの機械で加工できるので製品の幅が広がり受注増を期待できます。

アマダのパンチングマシンはここが違う

パンチングマシンのEMシリーズには、裏キズをつくらない技術が搭載されています。パンチングマシンはプレス機のように金属板に金型を押し当てて穴を開けるので、金型がどうしても金属板の裏面をキズつけてしまいます。これが裏キズです。

しかしEMシリーズは、金属板の上(表面)から金型を押し当てると同時に、下(裏面)にも受け用の金型を置いて上から下りてくる金型を受け止めるので、裏キズがほとんどつきません。これにより穴開け後に補修する作業を省略できます。また金型のつけ替えが全自動で行えるので作業時間を短くすることができます。

アマダのパンチ・レーザー複合マシンはここが違う

パンチ・レーザー複合マシンのACIES AJシリーズは、ファイバーレーザーを使っています。従来のCO2レーザーに比べて構造がシンプルなので、ユーザー企業はメンテナンス・コストを抑えることができます。またファイバーレーザーはエネルギー効率が高く、省エネになります。

ACIES AJシリーズは、前モデルのACIESシリーズより、14%の時間短縮と50%のランニングコストの圧縮を実現しました。これだけ高い性能を獲得できたのは、レーザーマシンのREGIUSシリーズとパンチングマシンのEMシリーズの機能をACIES AJシリーズにも搭載しているからです。

その他の機械

アマダは上記の3つ以外にも多くの工作機械をつくっていて、その一部は次のとおりです。

●板金機械

・ブランキングマシン(レーザーマシン・パンチングマシン・パンチレーザー複合マシン)・ベンディングマシン

●切削・研削盤機械

・鋸盤・鉄構加工機・ブレード・研削盤・放電加工機

●精密溶接機械

・レーザー溶接機・抵抗溶接機

●プレスマシン

株式会社アマダの概要

株式会社アマダは1948年に設立し、本社は神奈川県伊勢原市にあります。東証プライム(旧東証1部)に上場し、資本金は約548億円、連結従業員数約9,000人。全国各地に拠点を持ち、海外は次の国・地域に進出しています。

■アマダの拠点がある国・地域

アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、イギリス、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、スウェーデン、オーストリア、ロシア、トルコ、スイス、デンマーク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ハンガリー、南アフリカ、中国、台湾、韓国、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシア、インド、オーストリア、UAE

海外で稼ぐ会社

アマダの国内と海外の売上構成比は以下のとおり。

国内1,12845%
海外1,37555%
2,503100%
国内・海外売上構成(2021年、単位:億円)

2021年の連結売上高2,503億円のうち海外は1,375億円、55%で、国内の1,128億円45%を10パーセント・ポイントも上回ります。アマダは海外で稼いでいる会社といえます。

アマダの特徴

アマダは、モノづくり企業を支えるモノづくり企業といえます。アマダの工作機械を購入した企業は、これを使って金属を加工して製品の部品をつくります。アマダの顧客はモノづくり企業です。そしてアマダがつくる機械はモノなので、アマダ自身もモノづくり企業です。

アマダの機械でつくられるもの

アマダは間接的に経済と社会を支えています。モノづくり企業がアマダの工作機械を使ってつくっている部品は、次のような最終製品になっています。

■アマダの機械がつくる部品が使われている最終製品

●パソコン●スマホ●エアコン●食器●物置●机●ロッカー●文房具●エレベーター●橋●飛行機●特殊車両●信号機●看板●ショーケース●ATM●回転すし店のコンベヤー●自動販売機●厨房設備●ゲーム機

経済と社会を支えるモノの多くは金属を使い、そして付加価値が高いモノほど精巧な加工が必要になり、それらをつくるにはアマダの機械が欠かせません。

顧客の工場を自動化、スマート化する

アマダの工作機械で、コンピュータで動いていないものはありません。コンピュータで制御できるということは、コンピュータを進化させれば作業を次々自動化できることを意味します。作業の自動化が進んだ工場のことをスマート工場と呼んだりします。

スマート工場は自動化によって作業員を減らすことができるので、コスト安に運営することができます。また、人の手では誤差やミスが出てしまいますが、機械はメンテナンスをしていれば誤差を生まずミスもせず、しかも24時間稼働します。スマート化は、工場の生産性を格段に上げます。

アマダは顧客企業の工場の自動化、スマート化をサポートしています。設計担当者がCADでつくった設計図を自動で工作機械に取り込んで、そのまま加工することもできます。またコンピュータ上の3次元空間で、部品の設計図を立体画像にして、それをバーチャルに組み立てることで寸法不良や展開不良がないか確認することができます。

さらに、金属加工の途中で加工不良が出ることを予測するシステムもあります。人が不良品が出る予測をする必要がなくなり、低スキルの作業員でも製造を管理することができます。また、顧客の工作機械のデータをインターネットでアマダのIoTサポートフロントとつなぐことで、アマダが故障予防、早期復旧、運用改善をサポートすることができます。

まとめ~アマダは縁の下のモノづくり企業

家電製品が中国製に置き換わり、スマホがアメリカ・メーカーと韓国メーカーの独壇場になってだいぶ月日が経ちました。日本のモノづくりは、かつてほどの勢いはありません。それでもなお「メード・イン・ジャパン」神話が終わったわけではありません。この神話を支えている日本のモノづくり企業はたくさんありますが、アマダもその1社です。

ある調査会社によると、2021年の世界の工作機械シェアは、1位がドイツのトルンプで4.82%、2位がドイツ・メーカーと日本メーカーが資本業務提携をしたDMG森精機で4.20%、そして3位が3.31%のアマダでした(*1)。最終製品が売られている場所を表舞台とすると、工作機械づくりの現場は縁の下となるでしょう。アマダはまさに縁の下の力持ちとして、世界のモノづくりを支えるモノづくりをしています。

*1:https://deallab.info/machine-tools/