ヤマザキマザックってどんな会社?

執筆者 | 10月 4, 2022 | ブログ

ヤマザキマザック

日系四大工作機械メーカーの一角を担うヤマザキマザック。創業100年を超える歴史ある企業です。今回は「ヤマザキマザック」についてご紹介します。

グローバルカンパニー

ヤマザキマザックは「インテグレックス」や、対話型NC装置「マザトロール T1」 といった独創的な製品開発に強みを持っているほか、モノづくりを支える工作機械を通じて、国際社会に貢献することが企業理念として掲げられています。その理念のもと、業界に先駆ける形で創業当初から、全世界に生産拠点やサポート拠点を展開、グローバル化を進めてきたようです。現在は世界21ヵ国70ヵ所ものサポート拠点を設けています。工作機械を通じて、生産性向上につながる製品や技術をスピーディーに提供し、世界中でモノづくりの発展に今後も寄与していくビジョンを持っています。

また、IoTやAIといった、先進技術の活用にも積極的な企業であり、人手不足などの課題に対して、いかに製品やサービス開発を加速させていくか、顧客の現場での自動化やスマート化を推進できるかといった多角的なアプローチでソリューションの提供を目指しているようです。まさに、日本を代表する工作機械のグローバルカンパニーですね。

ヤマザキマザック概要

1919年、名古屋市で「山崎鉄工所」として創業したのが企業の始まり。創業当初、畳製造機の製造を手がけており、後に木工機械の生産へと展開しています。そして、1930年代に入ってから工作機械の製造も本格的に開始されました。第二次世界大戦後は製造を禁じられた期間があったものの、1959年から生産を再開、1963年にはアメリカへの輸出も行なっています。これは、日本の工作機械メーカーとしては初めてのことでした。

1974年からは、北米での現地生産にも着手し、グローバル展開を積極的に推進しています。1987年で工作機械メーカー売上高世界一位を達成、日本の工作機械市場を名実ともに牽引しているメーカーです。

会社名ヤマザキマザック株式会社 (略称:Mazak)
創業1919年
資本金20億円(単純合計136億2,000万円)
生産品目マルチタスキングマシン(複合加工機)
CNC旋盤、CNC装置
立形マシニングセンタ、横形マシニングセンタ
CNCレーザー加工機、FMS生産システム
CAD/CAMシステム、生産支援ソフトウェア
従業員数8,600人(グループ企業合計)2022年6月現在
株式非上場
ヤマザキマザック概要

■グループ会社/日本 6社、北米3社、中南米2社、ヨーロッパ9社、CIS 1社、アジア14社

■生産拠点(国内外)/10箇所

■サポート拠点 世界に87箇所 (内訳:テクノロジーセンター38箇所、テクニカルセンタ49箇所)

海外の拠点が多いことからも、いち早くグローバル展開を広げてきたことが分かります。略称の「マザック(MAZAK)」という呼び方は、海外で用いられているブランド名でもあります。海外進出の際、「YAMAZAKI」の「Y」が欧米人に発音しにくいことから「YA」を抜き、英語の語感に近づけるために最後の「I」も取って「MAZAK」としたものだそう。※欧米では、「メイザック」に近い発音になります。

ヤマザキマザックの歴史

1919年(大正8年)山崎定吉により山崎鉄工所が創設される。 (名古屋市中区)製畳機械製造を開始。
1927年(昭和2年)旋盤、フライス盤など工作機械の製造開始
1928年(昭和3年)工作機械商品化1号機(4尺旋盤)完成
1934年(昭和9年)モータ直結形ロール旋盤完成
1959年(昭和34年)高速精密旋盤の生産開始
1961年(昭和36年海外市場進出 東南アジア、インドネシア(スマトラ)へLD、旋盤3台を輸出 大口工場建設、操業開始 日本工作機械工業会へ加入
1962年(昭和37年)業界初の対米輸出、LE型旋盤200台を大量成約
1963年(昭和38年)ブランド「MAZAK」を発表、マザック旋盤の量産開始
1965年(昭和40年)大口工場へ本社移転
1968年(昭和43年)ニューヨークに米国会社Yamazaki Machinery Corporation(YMC)を設立 NC旋盤第1号機MTCシリーズを完成
1970年(昭和45年)マシニングセンタ第1号機BTC No.5を完成
1971年(昭和46年)日本初の適応制御旋盤MTC-1500R-ACを完成
1976年(昭和51年)多種少量の生産合理化を実現する加工システムYMS-30第1号機完成
1979年(昭和54年)本社テクニカルセンタを開設
1980年(昭和55年)英国会社YAMAZAKI MACHINERY U.K. LTD.設立
1982年(昭和57年)フランス現地会社MAZAK SERVICE FRANCE S.A.を設立 米国会社 Yamazaki Machinery CorporationがMazak Corporationに社名変更
1983年(昭和58年)複合加工機スラントターン40N ATCミルセンタ完成 美濃加茂製作所稼働
1985年(昭和60年)グループ社名を「山崎鉄工所」から「ヤマザキマザック」へ変更
1988年(昭和63年)英国工場製NC工作機械が初めて日本へ出荷
1992年(平成4年)英国会社YMUKが英国女王賞を受賞
1995年(平成7年)マザックコーポレーションがPhilip B Crosby Awardを受賞
1996年〜イタリア、フランス、ブラジル、中国等各国グループ会社にてテクノロジーセンタ開設
1997年(平成9年)Y軸機能を搭載した本格的複合加工機 インテグレックス200Y完成
1999年(平成11年)創業80周年行事Touch The Future 100開催 コンセプトマシン マザック2019年モデル発表
2001年(平成13年)究極の複合加工機インテグレックスeシリーズ完成
2006年(平成18年)美濃加茂製作所にワールドテクノロジーセンタ開設 美濃加茂第二製作所稼働
2007年(平成19年)英国会社(YMUK)が「英国女王賞」を受賞 コンパクト複合加工機インテグレックスi-150完成
2009年(平成21年)World R&D Center(ワールド研究・開発センター)完成 英国に大規模サポート拠点(ヨーロッパ テクノロジーセンタ)を開設
2010年(平成22年)ヤマザキマザック美術館 開館
2011年〜インド、ドイツ等各国のテクノロジーセンタを移設・拡充および新規開設
2014年(平成26年)新CNC装置MAZATROL SmoothX完成 ハイブリッド複合加工機を2機種発表
2016年(平成28年)ハイブリッド複合加工機 VARIAXIS j-600 AM 完成
2017年(平成29年)大口製作所「Mazak iSMART FactoryTM」稼働 高速・超高精度 同時5軸加工機“UD-400/5X” 完成
2018年(平成30年)複合加工機と歯車加工専用機を融合させたハイブリッド複合加工機「INTEGREX AGシリーズ」完成 世界初、青色半導体レーザーAM技術を搭載したハイブリッド複合加工機「VARIAXIS j-600/5X AM」発表
2019年(令和元年)小径パイプ専用高速レーザ加工機「FT-150 FIBER」完成 新型複合加工機「INTEGREX i-Hシリーズ」完成 新CNC装置「MAZATROL SmoothAi」及びソフトウェアシリーズ「MAZATROL TWINS」完成 新型同時5軸加工機「VARIAXIS C-600」完成  
2020年(令和2年)5面加工門形マシニングセンタ「FJW-100/160」完成 コンパクトCNC旋盤 「QTEシリーズ」完成 新型CNC装置「MAZATROL SmoothEz」完成 同時5軸加工機「VARIAXIS i-800 NEO」完成 横形マシニングセンタ「HCN-6800 NEO」完成
ヤマザキマザックの歴史

※表注釈:公式サイト「沿革」より、主に製品開発とグローバル展開を軸に抜粋編集いたしました。

参照:https://www.mazak.jp/about-mazak/company-history/

時代とともに

私たちの身の回りのモノの製造に関わっている工作機械。それゆえ、マザーマシンと呼ばれ、
世界中のモノづくりを支える、なくてはならない存在。しかしながら、工作機械は工場内で生産設備として使われているので、一般の目にはあまり触れられない存在ですよね。

100年もの間、世界中のモノづくりの発展に貢献することを目指してきたヤマザキマザックが、社会的にもこの工作機械の存在を伝えることを大切な使命と考え、岐阜県の美濃加茂市に創設したのが「工作機械博物館」なのです。工作機械に特化したミュージアムは、世界的にも非常に珍しいものです。地表から11mの深さにある“地下博物館”で、季節の温度差が少ない地熱を空調に活用することで省エネルギーを実現、地球環境に配慮した設計も特徴的です。

また、ヤマザキマザックはデジタルの活用にも積極的。顧客サービスの一環であるMazak iCONNECTもその一つ。インターネットを用いて顧客を支援する会員型サービスです。顧客と、マザック製の機械、企業が最新技術で結ばれることで、よりよい生産性をバックアップ。加工支援や、機械状態のレポート、沿革診断など、これまでなかった形のさまざまなサポート体制を強化しています。

終わりに

今回は、国内工作機械メーカーであるヤマザキマザックについてまとめました。100年前に愛知で誕生した畳製造機の会社が、グローバル展開を推進し続けるリーディングカンパニーとして成長。その軸には、世界のモノづくりの現場を土台から支えたいという理念があることがわかりました。また、デジタルの活用や一般向けの博物館の運営など時代とともに様々な企業活動が行われていることもわかりました。

ものづくりに欠かせない工作機械。そのメーカーという観点から歴史や動向を見ていくことで新しい視点や考察が出てくるかと思います。

また、企業の足跡を知ることでも特色が浮き彫りになり、製品や事業を見る上で参考になるかと思います。今回の記事もご参考や知見にしていただければ幸いです。