中古機械を買うときどの補助金が使えるのか?

執筆者 | 10月 3, 2022 | ブログ

中古機械 補助金申請

企業が中古機械を買おうとしているとき、補助金が使えることがあります。補助金とは、国や自治体が政策を進めるとき、その政策に合致する企業などを経済的にサポートする仕組みです。審査にとおった企業が所定の事業(補助事業)を実施すると、あとから費用を補填(ほてん)する意味合いで補助金というお金が交付されます。

中小企業庁の「ものづくり補助金」と「事業再構築補助金」は、企業が補助事業に取り組んでそのなかで中古機械を購入したら、その経費の一部が補助金で補助されます。もし自社が補助金の対象となる補助事業を計画していたら、補助金申請が通過すれば、中古機械の購入コストが少し軽くなるかもしれません。2つの補助金の詳細を紹介します。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます(*1)。ものづくり補助金の12次公募の応募締切は2022年10月24日です。このあとは13次公募が予定されています。ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者などが革新的サービスを開発したり、試作品を開発したり、生産プロセスを改善したりするときに設備投資をしたら、補助金が交付される仕組みになっています。補助金の対象となる経費に中古機械も含まれています。

*1:https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/12th/reiwakoubo_20220909.pdf

補助金の上限額と補助率

交付される補助金の額は、補助事業に使った経費に補助率をかけた額になります。例えば、補助率が2/3の場合、経費が100万円だったら補助金の額は「100万円×2/3」となります。そして補助金の額には上限があります。ものづくり補助金には複数の型と枠があり、自社に合う型・枠を選んで申請します。それぞれの型・枠と補助金の上限額と補助率は以下のとおりです。

型または枠上限額(従業員規模によって異なる)補助率
一般型・通常枠750万~1,250万円原則1/2、小規模事業者など2/3
一般型・回復型賃上げ・雇用拡大枠750万~1,250万円2/3
一般型・デジタル枠750万~1,250万円2/3
一般型・グリーン枠1,000万~2,000万円2/3
グローバル展開型3,000万円原則1/2、小規模事業者など2/3
補助金の上限額と補助率

補助金の目的

この補助金の目的は以下のとおりです。

  • 中小企業や小規模事業者などは今後複数年にわたって、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入といった制度変更に直面する。
  • これらの制度変更に対応するため、中小企業や小規模事業者などが革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資などを行ったとき、支援する。

対象者

ものづくり補助金の対象となる「中小企業や小規模事業者など」は、製造業であれば資本金3億円以下、常勤従業員数300人以下の事業者です。

通常枠の補助金の対象事業と対象経費

ものづくり補助金には複数の型・枠がありますが、ここでは一般型・通常枠について紹介します。通常枠の補助事業は、革新的な製品・サービス開発、または革新的な生産プロセス・サービス提供方法の改善です。革新的であるかどうかが問われます。つまり、補助事業を実施した場合、どれくらい事業者が成長できるかがカギを握ります。申請するときに、成長見込みを提示して、その成長が達成できる証拠を示すことになります。

例えば、半導体装置向け部品をつくっている企業が、医療の画像診断装置向け部品をつくるために設備投資をしたり、製造業企業が生産性を上げるために受注管理や工程管理のシステムを導入したりする場合、補助事業として認められる可能性があります。もちろんこのような事例以外でも対象になる可能性があるので、新しい取り組みを考えていたら、検討してみてください。

補助金の対象経費には、機械装置の購入費、システム構築費、技術導入費、クラウドサービス利用費などがあります。中古機械の購入は「機械装置の購入費」に含まれますが、条件があるので次の章で紹介します。

中古機械の購入が補助金の対象経費になる条件

中古機械の購入が補助金の対象経費になる条件は次のとおりです。

対象経費になる条件

  • もっぱら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機など)の購入、製作、借用に要する経費
  • 3社以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している

条件は以上の2点です。

そして中古機械の購入が対象経費にならない条件があり、それは以下のとおりです。

以下の内容に該当すると対象経費にならない

  • 中古市場において広く流通していない中古機械設備など、その価格設定の適正性が明確でない中古品

事業再構築補助金

事業再構築補助金の第7回公募の締切は2022年10月5日ですが、第8回や2023年度の実施が「噂」されているので、ここで概要を紹介しておきます(*2、3)。事業再構築補助金は、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、思い切った事業再構築を行った中小企業などに交付されます。補助金の対象となる経費に中古機械も含まれています。

*2:https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0701

*3:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo007.pdf

補助金の上限額と補助率

事業再構築補助金には複数の枠がありますが、ここでは通常枠の補助金の上限額と下限額、補助率を紹介します。企業規模によって額も補助率も変わります。

従業員数補助額(下限額~上限額)補助率
20人以下100万~2,000万円中小企業:2/3(6,000万円超は1/2)
21~50人100万~4,000万円中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3)
51~100人100万~6,000万円中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3)
101人以上100万~8,000万円中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3)
通常枠の補助金上限額と下限額と補助率

補助金の申請要件

事業再構築補助金はコロナ禍関連の経済対策でもあるので、次の3条件をすべてクリアする必要があります。

■条件1:売上の減少

2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年、または2020年1~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること

■条件2:事業再構築に取り組む

事業再構築指針に沿った新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編を行う

■条件3:事業計画を策定する

「事業再構築にかかる事業計画」を「認定経営革新等支援機関」と一緒に策定する条件3の事業計画には、補助事業の終了以後3~5年間に、付加価値額を年率平均3%以上増加させるなどの内容を盛り込む必要があります。

対象者

事業再構築補助金の対象となる「中小企業など」は、製造業であれば「資本金3億円以下の中小企業」、または「従業員300人以下の中小企業または個人」、または「資本金10億円未満の中堅企業」です。

通常枠の補助金の対象事業と対象経費

通常枠の対象事業(補助事業)は先ほど紹介したとおり新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編で、その内容は以下のとおり。

■新分野展開とは

中小企業などが主たる業種や主たる事業を変更することなく、新たな製品を製造したり、新たな商品やサービスを提供したりして、新たな市場に進出すること

■事業転換とは

中小企業などが新たな製品を製造したり、新たな商品やサービスを提供したりして、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること

■業種転換とは

中小企業などが新たな製品を製造したり、新たな商品やサービスを提供したりして、主たる業種を変更すること

■業態転換とは

製品、商品、サービスの製造方法や提供方法を相当程度変更すること

■事業再編とは

会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)などを補助事業開始後に行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換のいずれかを行うこと

申請に通過した会社がこれらの補助事業を行い、そのとき経費が発生するとその一部が補助金で補填されます。その経費のなかに中古機械が含まれていますので、次の章で詳しく解説します。

中古機械の購入が補助金の対象経費になる条件

中古機械の購入が補助金の対象経費になる条件は次のとおりです。この内容は、先ほどのものづくり補助金の条件とまったく同じです。

対象経費になる条件

  • もっぱら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機など)の購入、製作、借用に要する経費
  • 3社以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している

条件は以上の2点です。

そして中古機械の購入が対象経費にならない条件があり、それは以下のとおりです。

以下の内容に該当すると対象経費にならない

  • 中古市場において広く流通していない中古機械設備など、その価格設定の適正性が明確でない中古品

補助金の問い合わせ先

ものづくり補助金の問い合わせ先は以下のとおりです。

●ものづくり補助金事務局サポートセンター

受付時間:10:00~17:00(土日祝日、12月29日~1月3日を除く)

電話番号:050-8880-4053

メールアドレス:公募要領に関するお問い合わせ:monohojo@pasona.co.jp

事業再構築補助金の問い合わせ先は以下のとおりです。

●ナビダイヤル 0570-012-088

●IP電話用 03-4216-4080

受付時間:9:00~18:00(日・祝日は除く)

また両方とも、地元の商工会議所、商工会、都道府県庁や市区町村役場の経済担当部署、経済産業局などで相談できるはずです。

補助金で中古機械を買うときの準備は早めに

もし製造業企業が新しい取り組みをしようと決意したら、ここで紹介した2つの補助金は頼りになる存在になるでしょう。補助金の額の大きさはとても魅力的です。ただし、2つの補助金とも申請条件も審査内容も厳しいものとなっています。また審査を通過しても、先に補助事業を行い、経費を出費して、そのあとで精算が行われようやく補助金が交付されます。そのため、まずは自己資金で補助事業に着手しなければなりません。さらに、補助金の申請には多くの書類が必要になります。

「新しい取り組みをしよう」「そのためには中古機械を買わなければならない」「補助金を獲得したい」と思ったら、なるべく早く準備に取りかかるようにしてください。