工場解体費用の負担を軽くするためのポイント

執筆者 | 9月 21, 2022 | ブログ

工場解体

今回のトピックは工場解体についてです。工場を解体しなければならなくなった場合、一般家屋を解体するのとは勝手が違いそうです。その中でも、多くの方がまず気にされるのは費用面かと思います。本記事では、工場を解体する場合の費用の相場や、できるだけ安く抑えるためのポイントをまとめていきたいと思います。

工場解体の際の費用の相場は?

工場は大半が鉄骨造や鉄筋コンクリート造です。この点が一般家屋と大きく違うところです。強度もかなりあるため、解体には大掛かりな方法、つまり重機による作業が必要であり、時間もかかることから、家屋解体と比較すればかなり費用も高くなるのです。さらに、アスベストを含む建材が使用されている建物の場合は、特殊な解体方法が必要になるため、解体費用そのものが上乗せされるのはもちろん、事前調査費まで加算されるので注意が必要です。坪数ごとに相場を見てみましょう。

坪数平均坪単価
10坪未満48,000円
10坪台29,000円
30坪台27,000円
50坪台34,000円
70坪台25,000円
坪数ことの解体費用

上記は鉄筋コンクリート造を想定した単価と考え、鉄骨造の場合は坪単価35000円~45000円を相場目安にすると良いかと思います。ただし、あくまで相場の目安となりますので、広さや工事内容によっても大きく変わることを念頭においてください。工場の建物そのものの解体以外、機械の処分や廃棄、ブロック塀や看板など建物以外の設備の撤去費用などは含まれていないことも想定しておかなければなりません。

形がシンプルでないなど、工事をするにあたって事前準備に時間がかかるケースなどもありますし、冒頭で触れた、アスベスト処理などの特殊なケースも珍しいことではないので、余裕を見ておくことが大事です。価格を変動させる要因が多様なため、業者に見積もりをとると、かなり金額に幅があることも多いようです。妥当な費用なのかどうかをしっかり見極めるためにも、知識をもっておくことは重要でしょう。

工場解体の工期はどれくらい?

一般家屋の解体では、単純に解体作業をする期間だけを計算しても1~2週間ほどで完了することが多いようです。しかし、業者探しや、各種な手続きを進める時間も必要なので、解体工事を計画してから解体工事完了まで、通常は2~3ヶ月ほど要します。

工場の解体のケースはどうでしょうか。前述の通り、家屋と比べると規模が大きくなるため、準備期間も実際の解体作業の期間もそれぞれ長くなると想像できますよね。さらに、特殊な解体方法を取らなければならないなど、場合に応じて、その作業が可能な業者を探すのにも時間は取られますし、準備期間もそれなりに設定しておく必要はあると思います。

解体作業の期間に関しては、取り壊す工場の床面積や高さなど、規模の大きさによってだいたい決まってきます。さらに、工場の場所も肝心で、エリアによっては1日の解体工事時間を長くとることができ、その分全体の工期を短くできるといったケースなどもあります。このように、ケースバイケースの側面が大きいのが工場解体の工期です。まずは工場解体の専門業者に見積もりを出してもらい、把握することをお勧めします。

特殊な工場解体方法について

工場解体では、一般の戸建ての家屋等の解体には用いない特殊な解体技術や方法で作業が進められることも珍しくありません。ジェットバーナー工法や、マイクロ波工法、レーザー工法などがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

■ジェットバーナー工法

サーモドリル工法とも呼ばれる方法です。灯油と酸素の混合ガスの炎を超音速で噴射して、鉄筋などを溶接する技術です。バーナーを使って、3000度以上の温度を発生させ、鉄筋コンクリートなどを切断するもので、騒音や振動が全くでないことも大きな特徴です。狭い工場のスペースでも作業が可能であり、鉄筋や鉄骨など解体における殆どの材質を切断することができるので非常に便利で、重宝されている方法になります。

■マイクロ波工法

コンクリートなどを透過するものも多いマイクロ波のの性質を利用し、内部から加熱することでコンクリートを粉砕する方法。外部と照射ポイントとの温度差によって破砕する仕組みです。対象物との距離が近ければ近いほど、急激に温度が上がり破壊しやすくなります。こちらも比較的、騒音や振動が少ないというメリットがある技術になりますが、作業中などにマイクロ波が当たると危険があるので保護装置は必須です。

■レーザー工法

パワー密度の高い高温レーザーを用い、鉄やコンクリート、ステンレスといった、さまざまな材質の溶解切断できる方法です。レーザー工法は、非接触切断ができることや、振動を起こさずに使えるため、場所を限定せずに活用できる点もメリットと言えそうです。コンピューターによる遠隔操作も容易にでき、近年注目されている技術です。

■ワイヤーソー工法

ダイヤモンドの砥粒をビーズに埋め込み等間隔で装着したワイヤーを利用した技術。圧倒的なダイヤモンドの硬度を活用した方法になります。ダイヤモンドワイヤーを高速で回転させ、対象物を切断することができます。こちらの方法でも振動は発生せず、高速回転の音のみが出るだけなので、基本的にどんな場所でも使えます。高い場所や狭い空間など、場所を選ばずに作業できるというのが大きな長所と言えそうです。

 工場解体の費用負担を抑えるには

前述のように、条件によっては追加費用が次々と追加になり、コストを要することが懸念される工場の解体。しかし、ポイントを抑えることで、その費用負担を下げられる方法もあるようです。代表的な方法をご紹介しましょう。

✅ 工場解体に精通し、豊富な経験のある業者に依頼する

工場の解体工事では、できる限り経験の豊富な業者を見つけることをお勧めします。規模が大きくなればなるほど、解体に必要な機材や重機の扱いに慣れていることが求められますし、経験が豊富であれば工期も短く済むことが多いものです。もちろん、それに比例してコストが下げられるというわけです。

不慣れな業者に依頼してしまうと、工期が長くなるのはもちろん、料金が総合的に高く見積もられることが多いようです。見積もり提示や作業内容の確認において、解体経験について問い合わせするのが良いと思います。コスト面はもちろん、安心して任せられる業者選びは重要です。

 中間マージンがかからない業者を探す

工事を依頼した業者から、さらに下請けの業者に工事を任せている場合、中間手数料が発生します。このコストが全体の費用を圧迫しては元も子もありません。業界では、受注した工事を下請けに流すことは決して珍しくありませんので、業者選びの時点で、自社で工事をしてもらえるのかどうか、あらかじめ確認するのが大事です。

また、これに関連して、自社で重機や機材など設備を持っている業者であればなお費用が抑えられることも認識しておきましょう。リース料金も発注者側の負担となるので、これら重機や機材も手配するケースではコスト増が避けられないためです。

 自分たちで不用品をあらかじめ処分しておく

工場内を見渡せば、家電製品やその他の廃材など、自分たちで処分できるものがある場合が多いと思います。できるだけ自分たちで処分すれば、余計なコストを抑えることができます。工事が開始される前に動いておくことがポイントで、自分たちで回収センターに運んだり、不用品引き取りや買取に出せば、その分処分費用を削減できます。ぜひ検討しましょう。

 工事時期を相談し、料金が下げられる時期を見計らう

一般の住宅を解体では、取り壊した跡に新しい住まいを建てる方も多いと思います。そういったケースでは、自分たちの都合に合わせた解体時期にし、できるだけ早く工事をしてしまいたいと考える方が大半だと思います。

しかしながら、工場の場合、解体した後、即座に新規の建設計画があるパターンばかりではないと思います。つまり、多少の工事時期の先延ばしは可能ということになります。一般的な業者は、解体工事が多く入っている時期と少ない時期があるはずなので、工事があまり入っていない時期に安く見積もってもらうという手段があります。閑散期の工事に設定してもられば、ある程度のコスト値引きができるケースもあるようです。これで費用が安くなるのであれば、試さない手はありません。緊急を要しない場合は、スケジュール面での交渉をしてみるといいと思います。

✅ 工事解体後の固定資産税を確認しておく

工場など建物を保有しているとかかるのが固定資産税。住宅用の家屋を解体すると、土地にかかる固定資産税が高くなるのです。これは、住宅用の家屋を立てている場合には、特例措置で固定資産税が軽減されていたものがリセットされるからです。工場の場合は、それとは考え方が異なりますので注意が必要です。工場は、家屋用と違って特例措置が存在しません。つまり、工場を解体すれば、それまで工場の建物にかかっていた固定資産税がなくなり、土地分の固定資産税のみ払えば良いことになります。結果的に、工場解体の後もその土地を所有するのであれば、固定資産税の全体額は減ることになります。家屋との違いはぜひ認識しておきたいですね。

このように、料金を下げることができる多くのポイントが可能性として挙げられました。意外だったでしょうか?ご存じなかった方法も見つかったのではないでしょうか?ぜひ、工場を解体することを検討し始めると同時に、これらの方法についても模索していただきたいと思います。

終わりに

今回は、工場解体について、主に費用面でおさえておきたいポイントをまとめました。上記でまとめた項目を総括すると、業者選びから事前準備など、あらかじめ情報を把握して検討していくことがいかに重要かお分かりいただけたと思います。費用を抑えられる可能性のあるポイントもたくさんあることが分かりました。ぜひ活用して、トータルで判断した上で納得のいく業者に依頼するようにしましょう。