重量物搬出の注意点

執筆者 | 8月 9, 2022 | ブログ

重量物搬出

工場にある工作機械などを中古品として売却するとき、その工作機械などを工場から搬出しなければなりません。この重量物搬出が意外に大変な作業になります。

搬出が問題になるのは、工作機械などが「トン」レベルや、ときに「十トン」レベルになる重量物であり、なおかつ大きく、なおかつ精密部品で構成されているからです。●重い●大きい●精密、の三拍子がそろうと、途端に搬出、搬送、搬入の難易度が増します。この記事では搬出にフォーカスして注意点を紹介します。

注意点一覧:重量物搬出業者をしっかり選びましょう

工作機械搬出の注意点は次の6点です。

  1. 機械に精通した人が分解しなければならない
  2. クレーンのついたトラックと資格者が必要
  3. 工場の近くに10tトラックを駐車できるか
  4. 重量物搬出作業者は丁寧か
  5. 重量物搬出作業のシミュレーションが必要
  6. 売却先で設置できるか

これだけのことができる重量物搬出送業者を探す必要があります。売主も買主もこの6つの注意点は知っておいたほうがよいでしょう。1つずつ解説します。

注意点1:機械に精通した人が分解しなければならない

工作機械のなかには、工場の出入り口より大きなものがあり、その場合、分解しないと外に出せません。工作機械の分解は素人ができるものではないので、作業チームのなかに機械に精通した人を含めておかなければなりません。

注意点2:クレーンのついたトラックと資格者が必要

分解してもなおひとつひとつの部品は相当な重量があるので、搬出で使うトラックはクレーンのついたものが必要になります。いわゆる「ユニック車」です。ユニック車のクレーンの操作には、移動式クレーンを操作する資格と公道を走行する資格と玉掛け業務に関する資格が必要になるので、これらの有資格者を作業チームに含める必要があります。

注意点3:工場の近くに10tトラックを駐車できるか

10tの工作機械の場合、10tトラックを使えば1回で搬出できますが、4tトラックしか用意できないと最低3回、往復しなければなりません。1回搬出と3回搬出では、搬出コストも作業時間も全然違ってくるので、大きなトラックで1回で運ぶことを考えたほうがよいでしょう。

その場合、工場の近くに大きなトラックを駐車できるスペースが必要になります。そのスペースがなければ、小さなトラックで複数回かけて運ぶしかありません。

注意点4:重量物搬出作業者は丁寧か

工作機械のなかには、移動することを想定してつくられているわけではないものもあります。つまり一度その場所に設置したら、ずっとそこで使われることを想定している工作機械もあります。そのような工作機械は衝撃に弱いので、重量物搬出作業には慎重さと丁寧さが求められます。

もちろん、荷物の搬出を雑に扱う人はいないでしょう。しかし工作機械の知識がない作業者だと「これくらいは大丈夫だろう」と考えてしまうかもしれません。重量物搬出作業には、工作機械が衝撃に弱いことを知り、丁寧に作業できる人が必要になります。

注意点5:重量物搬出作業のシミュレーションが必要

作業チームのリーダーは工作機械の搬出をシミュレーションすべきでしょう。どうやって分解するか、どうやって工場の外に出すか、どうやってトラックに載せるか、誰を作業チームに加えるか、など、事前に想定できることはたくさんあり、想定が充実するほど重量物搬出の失敗リスクを減らすことができます。

したがって工作機械を売却する人も購入する人も、重量物搬出業者としっかり打ち合わせをして、どのような工程で搬出するのか確認しておいてください。

注意点6:売却先で重量物が設置できるか

工作機械の「売却・搬出」は「購入・搬入」とセットにしたほうが合理的です。つまり、売却元の工場から工作機械を搬出したら、そのまま購入先の工場に搬入したほうが搬送コストを大幅に削減できます。そのためには、購入先の工場の基礎工事や荷下ろし、据えつけ、組み立て、レベル調整、試運転といった設置作業ができる人が必要になります。

もちろん、使用者が決まらないうちから売却することもあると思います。その場合、購入者の倉庫に工作機械を運ぶことになります。ということは、その倉庫に搬入する段取りも、搬出の段取りとセットで考えていかなければなりません。

重量物搬出業者は安さだけで選ばないで

重いだけなら、または、大きいだけなら、または、精密なだけなら、搬出するのに苦労は要りません。しかし重くて大きくて精密なものの搬出はとても大変です。

工作機械の搬出は特殊な作業といえるので、物を運ぶコスト以外のコストがかかります。このコストを負担しないと、工作機械を安全に運ぶことはできません。そのため、重量物搬送業者を選ぶときは、単純に「最も安い業者を選ぶ」という選考方法は採用しないほうがよいと思います。重量物搬送業者に作業内容、工程、段取り、下見、作業者の人数などを聞いたうえで、適切な見積額を出す業者を選んでください。