工作機械とはそもそも何?

執筆者 | 7月 13, 2022 | ブログ

工作機械

工作機械と聞いて、皆さんはどんな機械を思い浮かべますか?

生活に欠かせない自動車やスマホなど。これらの製品はすべて、工作機械を使って作られる「部品」で構成されていると言っても過言ではありません。普段意識することはなくても、私たちの身の回りにあふれているモノと非常に密接に関わっている機械、それが工作機械なのです。今回の記事では、工作機械の代表的な種類や用途・特徴についてまとめていきます。

工作機械とは

工作機械には非常に多くの種類があります。産業発展の長い歴史とともに、製造のそれぞれの分野に対応して発展してきたからこそ多様化したと言えるでしょう。それら一つひとつに得意な加工があり、構造も異なっています。最も適した機械を選んで利用するほか、効率よく加工を施すために複数の機械を組み合わせることも可能です。

対象物を希望の形状、寸法に加工する機械のすべてを工作機械と呼ぶことができますが、近年では定義が細分化され、鉄やアルミ、プラスチックなどの素材を切削・研削・研磨などの方法で加工する機械を特に工作機械と呼びます。穴を開けたり削ったりする方法を除去加工と言いますが、特に金属素材を除去加工する機械が工作機械に当たります。対象物をせん断したり、プレスや曲げで加工する種類の「非除去加工」の機械は工作機械に含まず、板金機械に区分されます。基本知識としてぜひ覚えておきましょう。

代表的な工作機械はどんなものがあるのでしょうか?

工作機械の種類

【旋盤】

旋削加工をする機械です。製造業の現場になくてはならない存在で、私たちの身近にあるほとんどの製品の部品に用いられています。対象物を回転させ、切削することで円盤や円筒に加工できます。面削りやテーパ削り、外丸削りのほか、穴開け、ネジ切り、突切りといった方法も可能です。旋盤のうち手動操作のものには普通旋盤や汎用旋盤があります。これらに対して、数値制御が可能な機種であるNC旋盤もあります。

【ボール盤】

穴あけ加工を行う工作機械です。ドリルを回転させることで穴を開ける仕組みです。正確でスピーディーな加工が行えます。穴あけ加工だけでなくネジ立てやリーマ加工も行えるのが特徴です。

【フライス盤】

平面を作ったり、段差を作ったりと、切削加工が行える工作機械です。エンドミルや正面フライスといったフライス工具を回転させて加工する仕組みです。機械の主軸の方向やテーブルの移動する向きで縦型や横型に区分できます。数値制御が可能な機種もあり、NCフライス盤などと呼ばれます。

【中ぐり盤】

穴の内側を高精度へと仕上げる加工や、もともとある穴をさらに大きく加工するために用いられる機械です。大きな穴や深い穴を開けたい場合に有効です。ドリル加工やフライス加工など、幅広い用途があるのも特徴になります。

【研削盤】

砥石とよばれるパーツを高速回転させることで、対象物を少しずつ削り取る機械です。平面や円筒、内面研削のほか、センタレス研削などを施すことが可能です。仕上げ面が綺麗なので、加工精度が高いことも大きな特徴です。

このほか、歯切り盤やブローチ盤、放電加工機も工作機械の仲間です。そして、一台で仕上げまでを一気に行える複合型の機械として、フライス盤を複合化したマシニングセンタ、旋盤を複合化したターニングセンタがあります。

工作機械でできること

工作機械を用いてさまざまな加工ができます。代表的な加工はどんなものがあるのか見てみましょう。

【切削加工】

素材から不要な部分を刃物で除去し、希望の形状を作り出す加工。旋盤を使った旋削加工や、フライス盤を使ったフライス加工、ボール盤を使った穴あけ加工などです。

【研削加工】

砥石や砥粒で表面の凹凸をなくす加工です。研削盤による加工の他、遊離砥粒を用いたラップ仕上げなどの研磨加工も含まれます。

【特殊加工】

刃物や砥石を用いずに特殊な方法で行う加工です。放電加工や電解加工、レーザ加工、超音波加工といった方法が含まれます。

ロボット導入による効率化

工作機械の領域では工程の自動化が進んできましたが、これまでは対象物の取り外しや運搬は人が行うことが基本でした。 より効率化するため、近年ではロボット導入による無人化が普及し始めています。加工工程を自動化した工作機械と、素材の着脱・運搬を行うロボットが連携することによって、工場の無人化や生産性の向上を実現しています。取り付け位置の誤差であったり、人的ミスの発生も防げるため、品質の安定化にも貢献しています。

終わりに

今回は、世の中のあらゆるモノづくりを支えてきた工作機械についてまとめました。工作機械にはさまざまな種類があり、それぞれの機種に得意な領域や役割があることがご理解いただけたのではないでしょうか。また、効率的な加工や生産力の向上で高品質な製品を生み出すために、工作機械を適切に使い分けることが肝要であると言えます。