設備投資減税(中小企業経営強化税制)をわかりやすく解説

執筆者 | 5月 26, 2026 | ブログ

設備投資減税
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工作機械を新たに購入する際、「何か税制上の優遇が使えないか」と考える経営者は多いはずです。そのときに真っ先に検討すべき制度が中小企業経営強化税制です。条件を満たせば、購入した機械の取得価額を全額即時償却するか、取得価額の10%を法人税から直接控除することができます。数百万円の設備投資でも、税負担を大幅に減らせる可能性があります。

この記事では、中小企業経営強化税制の仕組みから対象設備の要件、申請の流れ、工作機械への活用方法まで、製造業の経営者・設備担当者向けにわかりやすく解説します。

※本記事の情報は2026年5月時点のものです。税制は毎年改正されます。申請の際は必ず最新の情報を確認するか、税理士にご相談ください。

中小企業経営強化税制とは

制度の概要

中小企業経営強化税制は、中小企業が一定の設備投資を行った場合に、即時償却または税額控除を受けられる国の税制優遇制度です。通常、機械・設備を購入した場合は法定耐用年数にわたって少しずつ減価償却します。たとえば耐用年数10年の機械を1,000万円で購入した場合、毎年100万円ずつ10年かけて経費化するのが通常の処理です。

しかし中小企業経営強化税制を活用すると、購入した年に**1,000万円全額を経費として計上(即時償却)することができます。または、取得価額の10%にあたる100万円を法人税から直接差し引く(税額控除)**こともできます。どちらも中小企業の設備投資を後押しするための強力な税制優遇です。

対象となる事業者

以下の要件を満たす中小企業者等が対象です。

区分資本金従業員数
中小企業者(製造業)3億円以下300人以下
小規模事業者(製造業)20人以下

個人事業主も対象になります。また、青色申告をしていることが要件のひとつです。大企業の子会社や関連会社は対象外になる場合があるため、自社が要件を満たすか事前に確認が必要です。

対象となる設備の種類と要件

すべての設備が対象になるわけではありません。設備の種類ごとに取得価額の下限が定められています。

設備の種類取得価額の下限
機械装置160万円以上
工具30万円以上
器具・備品30万円以上
建物附属設備60万円以上
ソフトウェア70万円以上

工作機械は「機械装置」に該当するため、取得価額160万円以上が要件になります。

A類型・B類型・C類型

中小企業経営強化税制には複数の類型があります。製造業が設備投資に活用する場合はA類型・B類型・C類型が主な対象です。

A類型:生産性向上設備

最も一般的な類型です。以下の要件を満たす機械が対象になります。

  • 販売開始から10年以内のモデルであること
  • 旧モデルと比較して生産性が年平均1%以上向上していること
  • 設備メーカーが所属する工業会等の証明書を取得すること

新型の工作機械を購入する場合に活用しやすい類型です。メーカーに「A類型の対象設備か」を確認すると証明書の取得についても教えてもらえます。

B類型:収益力強化設備

投資利益率が年平均5%以上となることが見込まれる設備が対象です。

  • 投資計画を作成し、公認会計士または税理士の確認を受けること
  • 経済産業局への確認申請が必要

A類型に比べて手続きが複雑ですが、比較的新しいモデルでなくても対象になる可能性があります。

C類型:デジタル化設備

遠隔操作・自動制御・データ連携などのデジタル機能を持つ設備が対象です。IoT対応の工作機械や生産管理システムと連携する設備が該当します。

税制優遇の内容

即時償却とは

即時償却とは、取得した設備の全額をその年度の経費として計上できる仕組みです。通常の減価償却との違いを具体例で見てみましょう。

1,000万円の旋盤を購入した場合(耐用年数10年)

処理方法1年目の経費節税効果(税率30%の場合)
通常の減価償却100万円30万円
即時償却1,000万円300万円

1年目だけで見ると、即時償却の方が270万円多く節税できます。もちろんトータルの経費額は同じですが、早期に大きな節税効果を得られるのが即時償却の強みです。資金繰りが厳しい時期に設備投資をした場合、1年目の税負担を大幅に下げられるメリットは大きいです。

税額控除とは

税額控除は、取得価額の10%を法人税額から直接差し引く仕組みです。

1,000万円の旋盤を購入した場合 → 1,000万円 × 10% = 100万円を法人税から直接控除

即時償却と違い、税額控除は黒字・赤字に関係なく一定額が控除されます。ただし、当期の法人税額が控除額を下回る場合は翌年以降に繰り越せる場合があります。なお、資本金3,000万円超1億円以下の企業は控除率が7%になります。

即時償却と税額控除どちらが得か

一概にどちらが得とは言えませんが、一般的な判断基準は以下の通りです。

即時償却が有利なケース

  • 今期の利益が多く、できるだけ税負担を下げたい
  • 資金繰りを改善したい

税額控除が有利なケース

  • 今期の利益が少なく、即時償却しても節税効果が小さい
  • 安定的に黒字が続いており、確実に税額を減らしたい

どちらを選ぶかは企業の財務状況によります。税理士と相談して判断することをおすすめします。

申請の流れ

中小企業経営強化税制の活用には経営力向上計画の認定が必要です。

①経営力向上計画の作成 自社の現状・課題・導入する設備・期待する効果を記載した計画書を作成します。書式は経済産業省のウェブサイトからダウンロードできます。

②主務大臣への申請・認定 作成した計画書を所管省庁(製造業は経済産業省・各地方経済産業局)に申請し、認定を受けます。通常1〜2ヶ月程度かかります。

③設備の取得 認定を受けた後、対象設備を取得します。A類型の場合は工業会等の証明書も取得します。

④確定申告で適用 税務申告の際に適用を申請します。即時償却または税額控除の選択はこのタイミングで行います。

重要な注意点: 設備の取得前に計画の認定を受けることが原則ですが、設備取得後60日以内に申請すれば認定を受けられる場合もあります。詳細は税理士または経済産業局に確認してください。

工作機械で活用する具体的なシミュレーション

NC旋盤を2,000万円で導入した場合のシミュレーションです。

前提条件

  • 取得価額:2,000万円
  • 耐用年数:10年
  • 法人税率:30%
  • A類型(即時償却を選択)

通常の減価償却の場合

  • 1年目の経費:200万円
  • 1年目の節税効果:60万円

即時償却を活用した場合

  • 1年目の経費:2,000万円
  • 1年目の節税効果:600万円
  • 通常との差額:540万円

1年目だけで540万円の節税効果があります。この資金を次の設備投資や運転資金に回すことができます。

ものづくり補助金との違いと併用

中小企業経営強化税制とものづくり補助金は別の制度であり、原則として併用が可能です。ただし補助金を受けた部分については取得価額から差し引いて計算する場合があります。

中小企業経営強化税制ものづくり補助金
種類税制優遇補助金
メリット税負担の軽減購入費用の一部を補助
中古機械対象外対象外
申請タイミング設備取得前後公募期間内
即効性確定申告時に適用入金まで1年以上

両制度を組み合わせることで、設備投資の実質的な負担を大きく減らすことができます。

注意点・落とし穴

中古機械は対象外 中小企業経営強化税制も中古機械は対象外です。新品の設備のみが対象になります。

設備取得前の認定が原則 計画の認定を受ける前に設備を取得すると、制度の適用ができなくなる可能性があります。購入を決める前に手続きを始めることが重要です。

毎年制度内容が変わる 税制は毎年の税制改正で内容が変更されます。適用期限・対象設備・優遇内容が変わることがあるため、最新情報の確認が必要です。

赤字の場合は即時償却の効果が薄い 赤字企業は法人税を払っていないため、即時償却で経費を増やしても即座の節税効果はありません。このような場合は税額控除や他の対策を検討します。

まとめ

中小企業経営強化税制のポイントをまとめます。

  • 機械装置(160万円以上)の新規購入で即時償却または税額控除が受けられる
  • 即時償却は購入年度の税負担を大幅に軽減できる
  • 活用には経営力向上計画の認定が必要
  • ものづくり補助金と併用可能
  • 中古機械は対象外

設備投資を検討している場合は、この制度の活用を前提に計画を立てることをおすすめします。また、使っていない機械の売却収入を新設備の購入資金に充てることで、補助金・税制優遇と合わせて実質的な負担をさらに抑えることができます。

既存設備の価値が気になる方は、まず無料査定でご確認ください。

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