機械保険とは?

執筆者 | 3月 9, 2024 | ブログ

機械保険

個人でも法人でも、「保険」は身近な存在だと思います。医療保険、生命保険、自動車保険に火災保険、学資保険、海外旅行保険まで。個人でも、改めて数えてみるとこんなに多くの保険に入っていたんだと実感する方も少なくないと思います。

さて、製造業にとって重要な保険といえば…

火災保険、それとも機械保険などを思い浮かべますか?例えば機械が故障したときに補償される「機械保険」があります。実際どのようなときに補償が受けられるのか、具体的なイメージはお持ちですか?本日は製造業の企業が検討すべき保険の種類や、必ずおさえておきたいポイントについてまとめていきたいと思います。

機械保険はどうして必要?

機械設備を多数保有している製造業にとって外せないのが機械保険。定義としては、機械設備や装置が故障してしまった場合に補償が受け取れる内容の保険にあたります。しかし、故障と言ってもさまざまな原因があります。人的な操作ミスや、機械の衝突事故など、工場内で起きるトラブルは様々なものが想定されます。

工作機械は、一台ごと高額なものが大半ですから、故障は企業にとって考えたくない事案です。買い換えるとなると、購入当時の相場が適用されないことも多く、また専門性の高い領域のため、修理代もばかにならないことが多いでしょう。しかしながら、想定外のトラブルや事故で故障する可能性にしっかりと向き合い、準備しておくことは製造業に携わる上で必須です。

機械にはもちろん、保証というものがあります。保証期間内であれば家電などと同様に無償の修理や交換が可能です。しかし、決められた一定期間が経過すればメーカー保証はありませんよね。高額な機械になれば規模は数千万、数億円とコストが膨らみます。製造業を営む法人にとって機械保険は機械設備をたくさん使えば使うほど慎重に、そして確実に選択しなければいけない保険なのです。保険料は年間どれほどの負担になるのか。補償は十分なのか。企業経営、今後の事業展開等、視野に入れた上でベストな保険を選ぶことが重要です。

機械保険で支払われる保険金

保険会社から支払われる機械保険の保険金はどんなものがあるのでしょうか。代表的なものを見てみましょう。

  • 損害保険金…機械を稼働可能な状態に戻すため、そのコストを補償。機械の修理費用が、損害保険金にあたる。
  • 臨時費用保険金…機械の故障等に対応した際の宿泊費や交通費を補償。
  • 残存物取片づけ費用保険金…機械が故障等によって使用できなくなってしまった場合、その機械の片付けや取り壊し等に要した費用について、これを補償。

臨時費用や残存物取片付け費用に関しては上限額が決まっていることが多いようです。このほかにも、損害防止費用保険金のような補償もあります。

機械ごとに個別で契約をする「個別機械契約」と、事業所内の機械設備を一括で契約する「機械包括契約」の2種類があり、保険会社によって用意が異なります。自分たちの要望にあったものなのか、しっかりと確認しておきましょう。

実際の補償事例も挙げておきます。

例1:点火ミスによるボイラーの爆発

点火ミスによりボイラーが爆発し、損害補償1,000万円の支払い

例2:モーターの焼き付きによる破損

モーターが焼き付いてしまい使用不能になり、損害補償500万円の支払い

例3:異物混入による破損

異物の混入や巻き込みによって機械が破損。損害補償700万円の支払い

これらのトラブルは起こらないのが一番ですが、機械保険に加入することによって、不足の事態での余分なコスト負荷を抑えていることが端的に示されている事例ばかりです。各保険会社のサイトやパンフレットでもどのようなケースで補償されたのか説明記載があったりと、事例を確認することができますので、「こんな場合はどうなのか」と疑問に思われた方は、ぜひ参照してみてください。

火災保険との違いは?

火災が起きた場合を想定しましょう。考えたくないことですが、もしも火災により機械が故障してしまったら、保証されるのは機械保険、それとも火災保険?一体どちらなのか。

このケースでは、基本的に火災保険から保険金が支払われます。実は、大半の機械保険は火災による機械の故障まで補償範囲に入っていないのです。火災保険に入っていれば、いわゆる「火事」にまで至らなかった場合でも、過電流によってショートやスパークが発生するような電気系統の事故や、「機械的事故」といわれるような故障について補償範囲がカバーされています。つまり、機械設備の故障を手厚く補償しうる保険だと考えられます。

しかし無条件に安心できる万能なものではありません。特約をつけなければ機械設備の補償が対象になっていない保険もありますし、機械設備がそもそも対象外という保険商品もあるからです。保険会社ごと、もしくは商品ごとの内容を細かく確認することが大事です。

もしも、既に入っている火災保険で機械設備までカバーされていないのであれば、ぜひ比較見直しを検討していきましょう。補償内容を見比べ、保険料を比較したり、実際にほかの保険への変更手続きをするのは骨の折れる仕事ですが、定期的に保険を見直すことは企業活動を続ける上でとても重要です。 また、変更により思わぬコストカットにつながったり、不足の事態に万全の備えができたりとメリットもあります。

機械保険の注意点

機械保険に入っていれば、機械の急な故障はもちろん、従業員のミスなどで機会が壊れた際にも保険金が支払われます。どんな場合でも補償されるのでしょうか?そこには落とし穴もあるので留意しておくべきです。

例えば故意の故障や、重大な過失がある場合には補償範囲外とされます。

機械を誤って操作し、壊してしまう可能性はありますよね。誤操作の内容が、あまりにも重大だと言う場合には、「重過失」と定義されています。つまり、故意に機械を故障させたと判断が下りるため、対象外となってしまうのです。大きなミスのせいで損害が発生した場合には、慎重な調査とともに、補償してもらえるかどうか検討されます。補償してもらえない可能性についても心にとめておきましょう。

さきほどの章でも示したように、火災による故障は機械保険ではカバーできません。製造業の工場では、火災が起こる可能性はすべて否定することができないので、火災保険によりしっかりと備えておくことが大事です。

また、腐食やサビといった、機械にはつきものの経年劣化による故障。こちらも補償されませんので注意が必要です。機械ごとに寿命の目安はあるものの、メンテナンスをしっかりと行い、できるだけ長く最大限のパフォーマンスを発揮させるとともに補償範囲外とならないような状態をキープしていきたいですね。

終わりに

今回は、製造業に必要な保険についてまとめました。工場で高額な機械設備を使用している場合、いざというときの補償について熟知しておきたいものです。故障とひと口に行っても補償される場合と範囲外の場合があります。

保険料を払って、せっかく万一に備えるのですから、劣化や腐食によって補償されなかったような事態を防ぐためにも、機械の寿命を伸ばすためにも、メンテナンスにコストをかけることは有効だと言えます。また、火災の際に頼れるのは火災保険ですが、機械に対する補償は商品によりまちまちです。火災保険に入っている法人様は、ぜひ特約も含めた細かな条件、補償範囲を確認いただきたいと思います。