工場の火災保険は入るべき?注意点は?

執筆者 | 10月 6, 2022 | ブログ

工場 火災保険

今回のトピックは工場の保険についてです。工場の保険と言って真っ先に挙げられるのが火災保険。工場の火災、考えたくもないですが、万一火災が起こった場合には一般家屋とは比べ物のない規模で被害が発生してしまいます。工場の建物はもちろん、商品在庫や機械、什器など損失が出ます。爆発や延焼といった、工場ならではのリスクも…。

また、近隣への影響や売上高の減少など、間接的な被害が出ることも。あらゆる可能性を考え、また万一のために備えて対策をとっておくことは工場を運営していく立場として非常に重要なことと言えます。本記事では、製造業および工場の保険について、特徴や押さえておきたいポイントをまとめていきたいと思います。

火災保険でカバーできるのは?

事業用の火災保険の補償内容について見てみましょう。当然ながら、一般家庭用の保険とはガラリと内容が異なっています。ざっと区分すると3つの補償内容が挙げられます。

1.火災保険

製造業では、機械や特殊な薬品を扱ったりと、事故が比較的起こりやすいといえます。事故により火災が発生するリスクも常に考えておかなければなりません。焼失による損害には、「火災保険」が対応します。火災による焼失が考えられるのは、機械や什器、在庫していた商品、材料や書類、ロッカーや従業員の制服まで。工場内のありとあらゆるものが燃えてなくなってしまうことを考えなければなりません。もちろん建物自体もかなりダメージを受けることになり、大幅な修繕や建て直しが必要になるでしょう。

また、大規模な工場になると、工場外の車両や付近の人といった、外部の第三者を巻き込んでしまう可能性も否定できません。こういった損害をカバーするのが火災保険。焼失した商品の額や、什器の購入費、材料であれば仕入れ額が算出され支払われます。留意点は、保険加入の際に「新価」で金額を設定すべきという点です。焼失したものと同等のものを“新たに購入する”前提での金額が保険で支払われます。「時価」で設定してしまうと、損害発生時の価値で算出されるため、経年劣化や消耗分が差し引かれ減額となります。それでは、同等のものを買い直すことはできないため、注意が必要なのです。

もう一点、覚えておきたいのが、そのカバー範囲。火災はもちろん、落雷や爆発、風災や雪災や物体の落下、床上浸水など。工場や、その運営にダメージを与えるさまざまなケースをカバーしてくれるのが火災保険です。ぜひ念頭に置いておいてください。

2.休業損害補償

営業できない期間の売上減少の補填は、「休業損害補償」がカバーします。火災が発生した時点で、その規模に関わらず休業は避けて通れません。片付けや取引先・ご近所への対応、工場の修繕や設備の再購入など、営業を再開するまでには予想以上に期間が必要になるかとお思います。この期間、当然ながら売り上げは立ちませんので、資金繰りが圧迫されることになります。人件費や材料調達、家賃といったコストは引き続きかかってしまうため、火災により廃業にいたってしまうケースも珍しくはないのです。

そんな局面にも備えられるのが「休業損害補償」。営業できない期間も、もたらされるはずだった利益分を補償してくれます。この際は、決済書類に基づいて利益率などから実績が算出されることが多いようです。

3.休業日数短縮費用補償

少しでも早い再開を考えて、仮設の工場で営業を始めるというケースもあると思います。その際に賃料などをカバーしてくれるのが「休業日数短縮費用補償」。仮の工場を借りる場合にかかる費用(賃料や突貫工事のコスト)のほか、移転の案内文書の作成など出費に対して補償があります。この補償の前提として、企業努力より休業日数を短縮できたことに対し、そのコストをカバーするという考え方に基づいています。一刻も早く営業再開したい工場主にとって、非常に頼りになってくれる保険です。ぜひ覚えておきたいですね。

保険の支払い額はどのくらい?

代表的な損害保険会社の保険金支払い事例を確認してみると、おおよそ下記のようになります。

[金属機械器具製造業の事例]

照明器具より出火し、工場を全焼(休業日数31日間)

合計額/5,110万円(財物保険4,330万円/休業保険780万円)

[電気機械器具製造業の事例]

検査機械から出火し、機械関連が全焼(休業日数94日間)

合計額/5,110万円(財物保険3,180万円/休業保険1,930万円)

[食料品製造業の事例]

菓子仕上げ乾燥機から出火し、設備を焼失(休業日数2日間)

合計額/530万円(財物保険440万円/休業保険90万円)

[印刷業の事例]

紙製品製造装置より出火、設備を焼失(休業日数2日間)

合計額/340万円(財物保険160万円/休業保険180万円)

ざっと事例を見ただけでも、火災の規模と休業日数に比例して保険額が大きくなっていることがわかります。その工場の設備や状況によりかなり変動的な領域になるため一概に相場に見当をつけることはできなさそうにも思います。しかしながら、工場は、高額な機械や設備を備えていることが多いので財物の損害が大きくなるケースが大半ということ、休業日数がどんなに短くとも経済的なダメージは計り知れないということが言えるのではないでしょうか。

火災以外のケースについて

保険のカバー範囲についてまとめた流れで少し触れましたが、火災保険で補償される被害は、実は火災以外にも多様にあります。意外と知られていないものもありますので、ぜひ押さえておきましょう。

■風災・雹災・雪災

暴風雨に豪雪。異常気象が続き、自然災害が増えている昨今、決して無視できない災害と言えると思います。屋根が破損し雨漏りが起こった場合や、暴風で窓ガラスが割れるなど、「空」からの災害がこの項目に当てはまります。水災と近しいケースも考えられますが、「空から」なのか「地上から」なのかで災害が区分されることを覚えておきましょう。

■水災

洪水や土砂崩れなど、水が原因となり発生する災害を指します。※地面から発生した災害がここでいう「水災」に当てはまり、暴風雨は風災に区分されます。水災の補填には、ぜひ確認しておきたい留意点があります。それは、多くの保険にデフォルトで設定されている「浸水条件」。

  1. 損害割合が30%以上
  2. 浸水が地盤面より45cmを超える

この2つの条件、いずれかを満たしていないと保険金を受け取ることはできません。

条件1の損害割引とは建物の評価額に対し、修理費用など損害補填に関わるコストがどれほどの割合なのか数値化したもの。条件2の45cmを超える浸水というのは、辺り一面が丸ごと水浸しになっているような非常にきびしい状態が当てはまります。つまり、この浸水条件がセットされている保険の場合、災害状況がかなりひどい状況でないと保険金は受け取れないのです。浸水条件が付随されていることを気づかず、加入してしまうケースも珍しくないようなのでぜひ、保険加入の際は気にしておきたいものです。

■人災(盗難・衝突事故)

車両が工場建物に突っ込んだ場合や、盗難などの人災もカバーされます。

■破損・汚損など

工場内で偶発的に起こった破損や汚損に保険が適用されます。

■水漏れ

水道管など、自然災害以外での設備故障が原因の損害を補填します。

地震の災害は?

火災以外でも、さまざまな災害が火災保険でカバーできると分かりましたが、地震となると別立てで考えておかなければなりません。地震で発生した火災の場合は、火災であっても火災保険の対象外となるので特に注意が必要です。また、国が運営する一般的な地震保険では工場の設備などは補償対象とならないので、これも留意しておきましょう。地震保険の補償対象は居住用の建物や生活用の物件に限られているのです。

それでは、工場が地震に備えるにはどうしたらいいのでしょう。そこで頼れるのは、事業用の地震補償です。地震関係の災害で損害が発生した場合にカバーできる特約が火災保険にあります。地震のリスクが高いとされる我が国、あらかじめ対策をとっておくことは大切です。ぜひ地震関連の特約についても検討しましょう。

工場の保険についてのまとめ

今回は、工場の保険ついて、主に火災保険の特徴や注意したいポイントをまとめてきました。考えたくはないけれど、工場主として絶対に想定しておかなければならないもしもの災害。火災などによる直接的な損害はもちろんのこと、休業損害など、工場の資金繰りにダメージを与えるケースをしっかりと想定し備えておきたいものです。

一般家屋と性質的に異なる点も多いので、事業用の火災保険の内容や条件、特約など総合的に検討や確認をしておくことがとても大事です。年々、大きな災害が増えている状況の中、会社や働く従業員を守っていくためにも「もしも」に備える保険はダメージを最小限にとどめてくれる方法です。きちんとプランを立てて対応していきたいですね。