金属加工会社こそSDGsと環境を

執筆者 | 8月 12, 2023 | ブログ

金属加工会社もSDGsの取り組みに参加したほうがよいでしょう。参加したほうがよい理由は2つあり、1つ目はSDGsは全人類の目標なので人類の一員として参加すべきであり、2つ目は企業イメージがよくなるからです。

SDGsには目標が17個あるのですが、金属加工会社におすすめできる取り組みは、目標12の「つくる責任、使う責任」と目標13の「気候変動に具体的な対策を」です。環境問題は金属加工会社が取り組みやすいテーマであり、なおかつ自社の実利につながります。

SDGsとは?12と13の目標とは?

SDGsとは2015年の国連サミットで採択された「誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するために必要な17個の目標」です。この目標を2030年までに達成できると世界中がよい社会になるというわけです。金属加工会社は17の目標のどれを選んでもよいのですが、ここでは目標12「つくる責任、使う責任」と目標13「気候変動に具体的な対策を」に着目します。その内容は以下のとおり。

■目標12「つくる責任、使う責任」

持続可能な生産消費形態を確保する。環境に害を及ぼす物質の管理に関する具体的な政策や国際協定などの措置を通じ、持続可能な消費と生産のパターンを推進することを目指す。

■目標13「気候変動に具体的な対策を」

気候変動は開発にとって最大の脅威であり、その広範な未曽有の影響は、最貧層と最も脆弱な立場にある人々に不当に重くのしかかっている。気候変動とその影響に対処し、気候関連の危険や自然災害に対応できるレジリエンス(回復力)を構築するための緊急対策が必要。

参照:

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/sdgs_gaiyou_202305.pdf

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/sdgs_target.html

SDGsの取り組みが金属加工会社の経営にプラスになる理由

目標12と13への取り組みを金属加工会社に推奨するのは、業務改善に取り組んだり職場環境を整備したりするなかでこの2つの目標に近づくことができるからです。「SDGsに貢献できる」というメリットだけでは一企業は動きにくいかもしれませんが、「SDGsに貢献できる+業務改善につながる+職場環境が整備される」というメリットがあれば一企業であってもこれに取り組む価値を見出せるのではないでしょうか。そして金属加工会社が世間からSDGsに貢献している企業と認められるようになると次のような実利が得られます。

■金属加工会社がSDGsに貢献して得られる実利

  • SDGsを強く意識している元請け会社から評価される→受注増が期待できる
  • SDGsを強く意識している求職者から評価される→採用しやすくなり人手不足が解消する

もちろんSDGsに取り組めばすぐに受注数や求人応募者数が急増するわけではありません。しかし、同じ技術力を持つ金属加工会社が2社あり、片方はSDGsに取り組んでいて、他方がSDGsに関心を持っていなかったら、と想像してみてください。元請け会社や求職者が注目するのは当然、SDGsに取り組んでいる金属加工会社です。このことから「SDGsの取り組みは金属加工会社の経営にプラスになる」といえるわけです。それでは金属加工会社がSDGs目標12、13に対してできることを紹介していきます。

切削油剤による健康被害と環境汚染に対してできること

切削加工をするときに潤滑の目的で使う切削油剤は、作業者の健康被害や環境汚染が問題になることがあります。過去には日本工業規格(JIS)の切削油剤(K2241)の項目において、塩素系添加物が規格から削除されたことがあります。これは塩素系ダイオキシンや環境ホルモンの発生への関与が疑われているための処置とみられています。切削油剤による作業者への健康被害についてはそのほかにも、強アルカリ性物質・クロム酸塩・亜硝酸塩による皮膚障害、酵母菌・バクテリアによる腐敗臭などが指摘されています。

そして切削油剤には水質汚染、大気汚染、土壌汚染といった環境汚染リスクがあります。切削油剤問題に対して金属加工会社ができることはたくさんあります。

参照:https://www.juntsu.co.jp/qa/qa0626.php

健康被害がゼロでないことを従業者に周知する

恐らく切削油剤が持つ健康被害要素を、まったくのゼロにすることは難しいでしょう。したがって金属加工会社としては切削油剤の健康被害要素と上手に付き合っていかなければなりません。作業者が切削油剤に触れなければ健康被害を発せず、また、触れる機会が少なければ健康被害は無視できるレベルにまで低下します。このことから金属加工会社が取りうる対策には次のようなものがあります。

■切削油剤による健康被害対策

  • 作業者が切削油剤に触れる機会を減らす作業手順にする
  • 供給量過多やミスト給油、高速ジェット給油による切削油剤の飛散を最小限にする
  • 工作機械から切削油剤が漏れないようにする
  • 切削油剤が腐敗する前に交換する

さらに金属加工会社は作業者に、切削油剤による健康被害がゼロでないことを周知する必要があります。作業者の意識が高まれば上記の4つの対策に真剣に取り組めるようになるからです。

正しく処理し、そのことを自社サイトで告知する

切削油剤による環境汚染で問題になるのは、廃油の処理です。廃油を不法投棄すれば、水も空気も土壌も簡単に汚染されます。このように指摘すると金属加工会社の経営者は「当社が不法投棄するわけがない」「廃油を産業廃棄物として適切に処理することは当たり前のこと」と感じると思います。しかし世間には「今の日本にも廃油を違法に処理している工場があるのではないか」と疑っている人がいるかもしれませんし、実際に廃油の不法投棄事件は令和の現代でも起きています。

そこで重要になるのが、1)廃油を正しく処理することと、2)正しく処理していることを世間に知らせること、の2点です。金属加工会社が地域や取引先に向かって「当社は廃油を適正に処理しています」と宣言することは意味があります。自社サイトにそのように書いてもよいでしょう。

参照:https://www.asahi.com/articles/DA3S15403170.html

「正しいこと」はSDGs的である

例えば、運送会社のトラックに「法定速度で走行しています」と書かれたステッカーが貼られているのをみたことがあると思います。法定速度で走ることは当然のことなのですが、法定速度を超過して走る人が多いので、法定速度内走行宣言は「正しいことをしている」宣言になります。

これと同じように、金属加工会社が「廃油を適正に処理しています」宣言をすれば、世間の人たちは「不法投棄している工場があるとしても、この金属加工会社は違うんだ」と知ることができ、これも「正しいことをしている」宣言になります。また、産業廃棄物処理業者によっては、引火性がない廃油は通常の産業廃棄物と処理して、引火性がある油分を含む廃油は特殊な産業廃棄物として処理することがあります。特殊な産業廃棄物のほうが処理費は高額になります。

したがって金属加工会社は、引火性がない廃油と引火性がある廃油を分別することで、適正コストで的確に処理することができます。もし金属加工会社がすでにこのような取り組みをしていたら、やはり自社サイトに「SDGsが目指す環境問題の解決とコストダウンの観点から、当社は引火性がない廃油と引火性がある廃油を分別して処理しています」と告知することができます。金属加工会社が行っている「正しいこと」は、SDGsの考えに沿う場合が多いでしょう。

参考:https://www.kobasyo.net/11158/

オイルミスト問題に対してできること

オイルミストも切削油剤などの潤滑油に関わることなのですが、特徴的な現象なのであらためて解説します。金属加工の現場ではオイルミストが健康問題上の課題になります。ミストとは気体中に浮遊する液体分子のことで、靄(もや)もミストです。ちなみに霧(きり)はミストではなくフォグになります。ミストの分子はフォグの分子より大きく、ミストはフォグより薄いという違いがあります。

オイルミストとは、工作機械が激しく動くことで潤滑油が微粒子になって飛散して空気中に浮遊している状態のことを指します。金属加工会社はオイルミスト対策を講じることで、自社の作業者を守ることができます。

オイルミストによる健康被害

潤滑油の微粒子が空気中に浮遊すれば作業者が吸い込むことになり、それが健康を害することは直感的に理解できます。潤滑油は人にとって毒になり、専門家のなかにはオイルミストは発がん物質を含み、肺に障害を起こすこともあると指摘する人もいます。またオイルミストによってアレルギー症状を引き起こす人もいます。ただし少量であれば、仮にオイルミストが体内に入ってもそれを排除したり無毒化したりする機能が体には備わっているので、健康被害は起きません。そのためオイルミストには、その濃度を超えなければ問題なく、その濃度を超えると問題になる、という許容濃度が存在します。

日本産業衛生学会はオイルミストの許容濃度を3mg/㎥としていて、アメリカの産業衛生専門家会議(ACGIH)は5mg/㎥としています。したがって金属加工会社の経営者は、自社の工場内のオイルミスト濃度がこれらの数値より低ければ、作業者の健康被害は起きないと考えることができます。

参照:

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/33/4/33_222/_pdf/-char/en

https://www.zsisz.or.jp/images/pdf/h11-01.pdf

オイルミストの発生メカニズム

オイルミストが発生するメカニズムには2つあります。

切削油剤などの潤滑油は工作機械のなかにある加工対象物(ワーク)や切削工具の刃先(チップ)に吹きつけるわけですが、このときワークやチップは高速で回転しているので、潤滑油は「せん断」されます。せん断によって潤滑油の成分が細切れになり、空中に飛散できる状態になってしまいます。これが1つ目のメカニズムです。

オイルミストの2つ目のメカニズムは、工作機械が発する熱で潤滑油が煙を出す現象です。これを油煙といい、微細化した潤滑油の成分が空気中を浮遊します。油煙は焼肉でも発生しますが、こちらの油煙に含まれる油成分は食べても大丈夫なものなので健康被害が起きません。

オイルミスト対策

オイルミストについては許容濃度が示されていますが、その上限を超えても法律で罰せられるわけではありません。そのためオイルミスト対策は金属加工会社の任意かつ自主的な取り組みになります。オイルミスト対策ではまず、自社工場のオイルミストの状況を調べる必要があります。空間中のオイルミスト濃度は、質量濃度測定器や粒径分布計測器、個数濃度計測器で測定することができます。測定した結果、オイルミストが許容濃度(3~5mg/㎥)を超えていたら具体的な対策に乗り出すことになります。せん断によるオイルミストと油煙タイプのオイルミストの対策は異なり、以下のとおりです。

■せん断によるオイルミスト対策

  • 潤滑油の粘土を上げる
  • 密度を上げる
  • 表面張力を上げる

■油煙タイプのオイルミスト対策

  • 冷却効果を高めるために潤滑油の供給を増やす
  • 加工条件のうち温度条件を緩和する
  • 沸点の高い潤滑油を使う

きちんとPRする

繰り返しになってしまいますが、金属加工会社がオイルミストの許容濃度を計測したり、オイルミスト対策を講じたりしたら、そのことを自社サイトなどを使ってしっかりPRしたほうがよいでしょう。そして「従業員の健康管理とSDGsの観点からオイルミスト対策に乗り出している」と説明することをおすすめします。

CO2の排出を減らす

CO2の排出削減は、金属加工会社としてやるべきことというより、経済活動をしている事業者として取り組まなければならないことです。

金属加工工場向けCO2排出量可視化ツールとは

福岡県北九州市の株式会社ミラリンクは、金属加工業を含む製造業のビジネス・マッチング事業を展開するIT企業です。このミラリンクは製造業サポート事業の一環として、金属加工工場向けCO2排出量可視化ツールを開発しました。CO2排出量可視化ツールはパソコンで使うアプリ(ソフトウェア)で、工場の電気使用量を入力することでCO2の排出量を推定します。結果はグラフに表示されるので、CO2の排出量の増減が一目でわかります。

金属加工会社はSDGsへの取り組みとしてCO2の排出量を減らしていかないといけないのですが、対策を講じる前の排出量を計測しておけば、対策の効果を数値化することができます。ミラリンクは、金属加工工場向けのCO2排出量可視化ツールを開発した理由について、「これからの時代は環境への影響を考える工場が増えなければならないが、どうしたらいいのかわからないといった声を聞く。その第1歩として工場から出たCO2を簡単に計測するツールが必要であると考えた」と述べています。

参照:

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000097468.html

星の数ほどある製造業のCO2対策

金属加工会社が自社の今のCO2排出量を把握できたら、次は実際に減らす行動を取らなければなりません。環境省は製造業会社向けに温室効果ガス排出削減対策メニューをつくっています。メニューの内容は具体的で、「これをするとCO2などを減らすことができる」と明示しています。

例えば、「燃焼設備及び燃料の種類に適合し、かつ、負荷及び燃焼状態の変動に応じて燃料の供給量及び空気比を調整できる燃焼機器の導入」ですが、これはつまり、現状の中小規模ボイラー燃焼制御機構を、最適酸素(O2)制御最適押込風量制御機構に変換しましょう、という提案になります。もっと簡単に説明すると、ボイラーの省エネを図るシステムを導入しましょう、と呼びかけています。

また「老朽化した配管・バルブ類、継手類の更新」も提唱していて、これは配管やバルブなどの接合部から蒸気漏れを起こしていると非環境的なので、設備を更新して省エネに努めましょう、という内容になります。このような対策はまだまだあるので、この記事の最後に付録として紹介します。1つでも多く自社工場で実行することで確実に「SDGsな工場」に近づくことができます。

参照:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/gel/ghg-guideline/industry/

まとめ~SDGsは経営戦略

この記事の内容を箇条書きでまとめます。

  • 金属加工会社もSDGsに取り組んだほうがよい。なぜなら人類の一員として参加すべきであるし、企業イメージがよくなって実利を得ることができるから
  • 切削油剤による健康被害と環境汚染の問題を解消しよう
  • オイルミスト問題を解消しよう
  • CO2排出削減は製造業で生きる会社として取り組まなければならない

SDGsのためにSDGsのために…と考えすぎてしまうと「SDGs疲れ」を起こしてしまい活動が長続きしません。そこで、SDGsへの取り組みは自社に実利をもたらす、とも考えるようにしてみてはいかがでしょうか?そう考えるとSDGsへの取り組みを経営戦略に盛り込むことができ、長期にわたって従業員と地球を守っていくことができます。

付録~環境省の製造業会社向け温室効果ガス排出削減対策メニューのすべて

環境省の製造業会社向け温室効果ガス排出削減対策メニューのすべてを紹介します。1、温室効果ガスの排出の削減等に資する設備の選択と、2、温室効果ガスの排出の削減等に資する設備の使用方法の2部構成になっています。このなかには、導入する難易度が高く導入コストも高額になるものがある一方で、今すぐ取り組むことができるものも数多く含まれています。できるものを探して、できるものから実行してみてはいかがでしょうか。

1、温室効果ガスの排出の削減等に資する設備の選択

ア)燃焼設備

  • 燃焼設備及び燃料の種類に適合し、かつ、負荷及び燃焼状態の変動に応じて燃料の供給量及び空気比を調整できる燃焼機器の導入
  • 通風量及び燃焼室内の圧力を調整できる通風装置の導入
  • 燃焼制御装置の導入
  • リジェネレイティブバーナー又はリジェネレイティブラジアントチューブバーナー等熱交換器と一体となったバーナーの導入
  • 燃焼排ガス分析計又は燃焼用空気流量測定装置等燃料の燃焼状態の把握及び改善に必要な事項の計測に必要な機器の導入
  • 潜熱回収型ボイラー・高効率温水ボイラー・廃熱利用ボイラー等エネルギー消費効率の高いボイラーの導入
  • 木質ボイラーの導入
  • ペレットストーブの導入
  • 排出係数が小さい燃料等を使用した設備への更新その他の必要な措置

イ)熱利用設備

  • 遠赤外線塗装乾燥装置・高性能遠赤外線乾燥装置等エネルギー消費効率の高い加熱設備への更新
  • 適正規模の設備容量の加熱設備及び乾燥設備への更新
  • 熱交換に係る部分における熱伝導率の高い材料の採用
  • 熱交換器の増設及び配列の適正化による総合的な熱効率の向上
  • 開口部の縮小又は密閉・二重扉の取付け・内部からの空気流等による遮断等による放散及び空気の流出入による熱の損失の防止
  • 媒体を輸送する配管の径路の合理化・熱源設備の分散化等による放熱面積の低減
  • 断熱材の厚さの増加・熱伝導率の低い断熱材の利用・断熱の二重化等による熱利用設備の断熱性の向上
  • 熱利用設備の回転部分・継手部分等にシールを行う等による熱媒体の漏えいの防止
  • 工業炉の炉壁面等の性状及び形状の改善による放射率の向上
  • 加熱等を行う設備の伝熱面の性状及び形状の改善による熱伝達率の向上
  • 工業炉の炉体・架台・冶具・被加熱物を搬入するための台車等の熱容量の低減
  • 蒸留塔の運転圧力の適正化・段数の多段化等による還流比の低減
  • 塔頂蒸気再圧縮型ヒートポンプ使用蒸留装置等蒸気の再圧縮・多重効用化等による蒸留塔の効率の向上
  • 温水媒体による加熱設備における真空蒸気媒体による加熱
  • 高温で使用する工業炉と低温で使用する工業炉の組合せ等により熱を多段階利用することでの総合的な熱効率の向上
  • 多管型熱交換器・プレート型熱交換器・ヒートパイプ型熱交換器等エネルギー損失の少ない熱交換器の導入
  • 炉内攪拌装置・噴流加熱装置・高効率ラジアントチューブバーナー等熱伝達率の向上に資する装置の導入
  • 老朽化した配管・バルブ類又は継手類の更新
  • 断熱性能の高い配管・バルブ類又は継手類・フランジ等の導入その他の必要な措置

ウ)廃熱回収設備

  • 煙道・管等の廃熱温度の維持・伝熱面の性状及び形状の改善・伝熱面積の増加等による廃熱回収率の向上
  • 蓄熱システムの導入
  • 被加熱材料顕熱熱回収装置等エネルギー損失の少ない廃熱回収装置の導入
  • ボイラーブロー水の顕熱回収装置の導入その他の必要な措置

エ)空調設備・換気設備

  • 空調・換気対象範囲の細分化
  • 可変風量制御方式の導入
  • 高効率ヒートポンプ・高効率ガスエンジンヒートポンプ・ターボ冷凍機・改良型吸収式冷温水機・高効率エンジン駆動ヒートポンプ等ヒートポンプ空調システムの導入
  • 効率の高い熱源設備を使った蓄熱式空調システムの導入
  • 全熱交換器の導入
  • 外気冷房システムの導入
  • 熱源設備におけるポンプの可変流量制御システムの導入
  • 省エネ冷却塔の導入
  • フリークーリングの導入
  • 大温度差送風・送水システムの導入
  • 室外機の設置の際の通風状態等の確認
  • 二酸化炭素濃度等に応じた外気量自動制御システムの導入
  • 空調・換気効率の改善に必要な事項の計測のための計量器・センサー等の設置
  • 地球温暖化係数がより小さい冷媒を使用している省エネ型の空調設備への更新
  • 潜熱熱分離空調システムの導入
  • 熱回収型ヒートポンプ方式熱源装置又は排熱等利用型吸収冷温水機等各種熱有効利用空調システムの導入
  • 高効率蓄熱設備を使った蓄熱式空調システムの導入
  • 空気調和用搬送エネルギー効率化システムの導入
  • 排出係数が小さい燃料等を使用した設備への更新
  • 空調・換気最適化制御システムの導入その他の必要な措置

オ)給排水設備・給湯設備・冷凍冷蔵設備

  • 負荷変動に応じた運用が可能な給湯設備の導入
  • エネルギー消費効率の高い給湯設備への更新
  • ヒートポンプシステムの導入
  • ターボ冷凍機の導入
  • 省エネ冷却塔の導入
  • 潜熱回収型設備の導入
  • 経年変化等により効率が低下したポンプの更新
  • 老朽化した配管・バルブ類又は継手類の更新
  • 配管・バルブ類又は継手類・フランジ等の断熱強化
  • 排出係数が小さい燃料等を使用した設備への更新
  • 地球温暖化係数がより小さい冷媒を使用している省エネ型の給湯設備・冷凍冷蔵設備への更新
  • 各種熱利用型給湯システムの導入
  • エネルギー消費効率の高い熱電併給型給湯設備の導入
  • 給湯熱媒体輸送管の合理化・最適化
  • 低メタン排出型排水処理システムの導入その他の必要な措置

カ)発電専用設備

  • 太陽光発電設備の導入
  • 風力発電設備の導入
  • 中小水力発電設備の導入
  • 燃料電池設備の導入
  • 排出係数が小さい燃料等を使用した設備への更新
  • 適正な規模の容量の設備の導入
  • 実運転効率の高い設備の導入その他の必要な措置

キ)受変電設備

  • 適正な配置・配電圧・容量での受変電設備及び配電設備の導入
  • エネルギー損失の少ない変圧器の導入
  • 進相コンデンサー又は自動力率改善装置等工場全体の力率改善のための設備の導入その他の必要な措置

ク)コージェネレーション設備

  • ガスタービン式コージェネレーション設備又は燃料電池コージェネレーションシステム等熱需要が十分見込まれる場合の適正規模のコージェネレーション設備の導入
  • エネルギー消費効率の高いコージェネレーション設備の導入
  • コージェネレーションの総合的な効率改善のためのシステムの導入その他の必要な措置

ケ)電動力応用設備・電気加熱設備

  • 負荷機械の運転特性及び稼働状況に応じた所要出力に見合った電動機の導入
  • 燃料の燃焼・蒸気・電気等による加熱の特徴を比較勘案した加熱設備の導入●
  • 負荷変動に対する稼働状態の調整を容易にするための設備の導入
  • インバーター制御装置・機械式無段変速装置・静止型レオナード装置・サイリスタモーター・極数変換モーター等コンプレッサー・ファン・ブロワ・ポンプ等の電動力応用設備における回転数制御装置の導入
  • コンピュータの使用等による電気使用設備における電気の使用状態の的確な計測管理
  • プレミアム効率モーター又は永久磁石同期モーター等を用いたエネルギー消費効率の高い電動機・電動力応用設備の導入
  • 高性能アーク炉・高性能抵抗炉・高性能高周波炉・高性能溝型炉・高性能電気分解炉・高性能メッキ炉等エネルギー消費効率の高い電気加熱設備の導入
  • 進相コンデンサー又は自動力率改善装置等設備の力率改善のための設備の導入
  • エアー需要に見合った圧力のエアーコンプレッサー・ブロワ・ファンの導入
  • エアー配管の合理化・最適化
  • 熱利用設備の回転部分・継手部分等にシールを行う等によるエアーの漏えいの防止その他の必要な措置

コ)照明設備・昇降機設備・事務用機器等

  • 高周波点灯型蛍光灯・メタルハライドランプ・LED(発光ダイオード)照明等エネルギー消費効率の高い照明器具への更新
  • 清掃・光源の交換等の保守が容易な照明器具への更新
  • 点灯回路等の総合的な照明効率を考慮した照明器具への更新
  • 照明対象範囲の細分化
  • 人感センサーの導入
  • 計時装置(タイマー)の導入
  • 初期照度補正又は調光制御のできる照明設備への更新
  • エネルギー消費効率の高い昇降機設備・事務用機器等の導入
  • 地球温暖化係数がより小さい冷媒を使用している省エネ型の自動販売機への更新その他の必要な措置

サ)建物

  • 熱線吸収ガラス・熱線反射ガラス等の高断熱ガラス・二重サッシの導入
  • エアフローウインドー等の導入
  • 地球温暖化係数がより小さい材料を使用した断熱材の使用等による建物の断熱その他の必要な措置

シ)工場エネルギー管理

  • 温室効果ガスの排出等の状況について定期的かつ定量的な評価を行えるエネルギー管理の実施のための設備の導入その他の必要な措置

ス)流体・余剰蒸気の活用等

  • 廃圧回収タービン・高効率ガス分離装置等の流体・余剰蒸気圧力・副生ガスの活用設備の導入その他の必要な措置

セ)未利用エネルギーの活用

  • 廃棄物・廃液のガス化・液(油)化・固形燃料化装置等廃棄物エネルギー活用設備の導入
  • ヒートポンプ等を活用した熱効率の高い温度差エネルギー活用設備の導入
  • 水落差・水残圧エネルギー活用設備の導入その他の必要な措置

2、温室効果ガスの排出の削減等に資する設備の使用方法

ア)燃焼設備

  • 燃焼設備及び使用する燃料の種類に応じた空気比の適正化
  • 複数の燃焼設備を使用する場合の燃焼設備全体としての熱効率の向上
  • 燃料の粒度・水分・粘度等燃料の性状に応じた適切な運転
  • 熱源設備の効率の改善に必要な事項の計測及び記録
  • 熱源設備の定期的な保守及び点検
  • 排出係数が小さい燃料等への転換その他の必要な措置

イ)熱利用設備

  • 熱媒体の温度・圧力・量の適正化による熱量の過剰供給の防止
  • 炉壁外面温度の適正化
  • 排ガス温度及び廃熱回収率の向上
  • 工業炉の設備の構造・被加熱物の特性・前後の工程等に応じた熱効率の向上によるヒートパターンの改善
  • 被加熱物又は被冷却物の量及び炉内配置の適正化による過大負荷及び過小負荷の防止
  • 加熱の反復を必要とする工程における連続化・統合化・短縮・一部の省略・工程間の待ち時間の短縮
  • 断続運転が可能である場合の運転の集約化
  • ボイラー給水の水質の適切な管理
  • 不要時の蒸気供給バルブの閉止
  • 蒸気の乾き度の維持
  • 冷却器及び凝縮器への入口温度の適正化
  • 複数の加熱設備を使用する場合の設備全体としての熱効率の向上
  • 加熱等を行う設備の制御方法の改善による熱の有効利用
  • 熱の損失状況を把握するための事項及び熱の損失改善に必要な事項の計測及び記録
  • 設備の定期的な保守及び点検その他の必要な措置

ウ)廃熱回収設備

  • 排ガスを排出する設備等に応じた排ガス温度の低減・廃熱回収率の向上
  • 廃熱の回収を行う蒸気ドレンの温度・量・性状の範囲の適正化
  • 加熱された固体又は流体が有する顕熱・潜熱・圧力・可燃性成分等の回収利用の範囲の適正化
  • 原材料の予熱等その温度・設備の使用条件等に応じた廃熱の適正な利用
  • 廃熱の状況把握及び利用の促進のために必要な事項の計測及び記録
  • 廃熱利用の効率を維持するための事項に関する定期的な保守及び点検その他の必要な措置

エ)空調設備・換気設備

  • 製品製造・貯蔵等のための区画及び作業のための区画における空調設定温度・湿度の適正化
  • 運転時のドアの開け放しの防止
  • 空調設備・熱源機の起動時刻の適正化
  • 使用されていない区画の空調停止
  • 熱源設備における冷温水ポンプの冷温水流量の適正化
  • 蓄熱システムの運転スケジュールの適正化
  • 熱源設備における熱源台数制御装置の運転発停順位の適正化
  • 熱源設備における冷温水出口温度・冷却水設定温度の適正化
  • 冷暖房の混合使用によるエネルギー損失の防止
  • 空調・換気効率の改善に必要な事項の計測及び記録
  • 温湿度センサー・コイル・フィルター等の清掃
  • 自動制御装置の管理等の保守及び点検
  • 複数の空調設備で構成されている場合等の総合的なエネルギー消費効率の向上
  • 機器等からの冷媒等の漏えい防止のための点検・整備
  • 排出係数が小さい燃料等への転換その他の必要な措置

オ)給排水設備・給湯設備・冷凍冷蔵設備

  • 給排水ポンプの流量・圧力の適正化
  • 給湯温度・循環水量の適正化
  • 冬季以外の給湯供給期間の短縮
  • 運転時のドアの開け放しの防止
  • 複数の熱源機・ポンプで構成されている場合等の総合的なエネルギー消費効率の向上
  • 熱源設備における熱源台数制御装置の運転発停順位の適正化
  • 熱源設備における冷却水設定温度の適正化
  • 温湿度センサー・コイル・フィルター等の清掃
  • 設備の定期的な保守及び点検
  • 排出係数が小さい燃料等への転換
  • 配管等からの冷媒等の漏えい防止のための点検・整備その他の必要な措置

カ)発電専用設備

  • 複数の発電設備の並列運転に際しての総合的なエネルギー消費効率の向上
  • 総合的な効率の改善に必要な事項の計測及び記録
  • 設備の定期的な保守及び点検
  • 排出係数が小さい燃料等への転換その他の必要な措置

キ)受変電設備

  • 変圧が不要な時期・時間帯における変圧器の停止
  • コンデンサーの細めな投入及び遮断
  • 受変電設備の配置の適正化・配電方式の変更による配電線路の短縮・配電電圧の適正化等による配電損失の低減
  • 三相電源に単相負荷を接続させる場合の電圧の不平衡の防止
  • 電気使用設備の稼働調整を通じた電気使用の平準化による最大電流の低減
  • 受変電設備・配電設備の電圧・電流等の適正な管理
  • 電気の使用量及び電気の損失を低減するために必要な事項の計測及び記録
  • 設備の定期的な保守及び点検その他の必要な措置

ク)コージェネレーション設備

  • コージェネレーション設備の総合的なエネルギー消費効率の向上
  • 総合的な効率の改善に必要な事項の計測及び記録
  • 総合的な効率を高い状態に維持するための定期的な保守及び点検その他の必要な措置

ケ)電動力応用設備・電気加熱設備

  • 電動力応用設備の電動機の空転の防止及び不要時の停止
  • 電気加熱設備における被加熱物の装てん方法の改善・無負荷稼働による電気の損失の低減・断熱及び廃熱回収利用の適正化による熱効率の向上
  • 適正な形状及び特性の電極の採用による電解効率の向上
  • 電極間距離・電解液の濃度・導体の接触抵抗等の適正化による電解効率の向上
  • 電気使用設備の電圧・電流等の適切な管理による電気の損失の低減
  • 流体機械の使用端圧力及び吐出量の見直し・負荷に応じた運転台数及び回転数の適正化による電動機の負荷の低減
  • 電圧・電流等電気の損失を低減するために必要な事項の計測及び記録
  • 複数の電動機を使用する際の電動機全体の効率の向上
  • 設備の定期的な保守及び点検その他の必要な措置

コ)照明設備・昇降機設備・事務用機器等

  • 照度を比較的必要としない作業場等の照明の間引き点灯
  • 照明を利用していない場所及び時間帯における細めな消灯
  • 照度の計測及び記録
  • 照明器具の定期的な保守及び点検
  • 利用の少ない時間帯における昇降機の一部停止
  • 昇降機の定期的な保守及び点検
  • 使用しない時間帯における事務用機器等の電源の遮断
  • 低電力モードの設定
  • 事務用機器等の定期的な保守及び点検
  • 利用の少ない時間帯における自動販売機の消灯その他の必要な措置

サ)建物

  • 建築物の建築又は大規模な改修に係る設計業務を発注する場合の設計者が持つ温室効果ガス等の排出の削減に資する技術力の適切な評価
  • 温室効果ガス等の排出の削減に資する技術提案を積極的に採用できる環境の整備その他の必要な措置

シ)工場エネルギー管理

  • 年単位・時間単位等でのエネルギー管理を系統別に実施することによる過去の実績と比較したエネルギーの消費動向等の把握
  • 燃焼設備・熱利用設備・廃熱回収設備・コージェネレーション設備・電気使用設備・空調設備・換気設備・給湯設備等に関する統合的な省エネルギー制御の実施
  • 機器や設備の保守状況・劣化状況等の把握その他の必要な措置

ス)流体・余剰蒸気の活用等

  • 利用価値のある高温の燃焼ガス又は蒸気の発電及び作業動力等への有効利用
  • 複合発電及び蒸気条件の改善による熱の動力等への変換効率の向上その他の必要な措置

セ)未利用エネルギーの活用

  • 可燃性廃棄物を燃焼又は処理する際発生するエネルギー・燃料の回収・利用
  • 工場排水・下水・河川水・海水等の温度差エネルギーの利用
  • 水落差・残水圧の利用その他の必要な措置